中東情報分析

イスラーム過激派モニター(会員限定)

『イスラム過激派モニター』は、「イスラーム国」やアル=カーイダ等のイスラーム過激派諸派に関して、これまで「中東かわら版」を通じて発行していた内容により詳細な分析を加えたレポートです。

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2019/11
No.M19-10 2019年10号 新カリフへの忠誠表明から見える「イスラーム国」の衰退 2019年10月31日(日本時間)、「イスラーム国」の広報製作部門として最も公式性が高い「フルカーン広報製作機構」は、新たにアブー・イブラーヒームなる人物を、同組織の指導者「カリフ」とすることを発表した。これを受けて、「イスラーム国」名義で活動する各「州」(ウィラーヤ)で行われた、新カリフへの忠誠表明の儀式(バイア)が報告された。
2019/11
No.M19-09 2019年9号 「イスラーム国」が新たな「カリフ」と公式報道官を選任 2019年10月31日(日本時間)、「イスラーム国」の広報製作部門の一つである「フルカーン広報製作機構」は、「また誰でもアッラーとの約束を、果す者には、かれは偉大な報奨を与えるのである(コーラン第48章10節)」と題する公式報道官の談話(7分37秒)の音声ファイルを発表した。談話は、自称「カリフ」のアブー・バクル・バグダーディーと公式報道官のアブー・ハサン・ムハージル(アラビア半島出身)が死亡したと発表した上で、新たな「カリフ」としてアブー・イブラーヒーム・ハーシミー・クラシーが選任されたと報告するものである。なお、公式報道官のアブー・ハサン・ムハージルが死亡した旨発表しているため、この談話に登場するアブー・ハムザ・クラシーも新任の公式報道官である。
2019/10
No.M19-08 2019年8号 アブー・バクル・バグダーディーの後継問題 2019年10月27日、アメリカのトランプ大統領は「イスラーム国」の自称「カリフ」アブー・バクル・バグダーディー(本名:イブラーヒーム・バドリー)を殺害したと発表した。本稿執筆の時点で、「イスラーム国」はこの件についての論評を発表していない。そうした中、「イスラーム国」がバグダーディーの後継の指導者として誰を擁立するのかが治安当局や報道機関の関心を集めているが、2019年10月28日付『ナハール』紙(キリスト教徒資本のレバノン紙)は、『AFP』を基にバグダーディーの後継として有力な幹部3人を挙げた。
2019/10
No.M19-07 2019年7号 「イスラーム国」、トルコのシリア侵攻に便乗 2019年10月9日、トルコ軍がシリア北西部を占拠するクルド民族主義勢力を対象に「テロ対策」を主張してシリア領に侵攻した。これを受け、クルド民族主義勢力を中核とするシリア民主軍は、従来アメリカ軍の「現地の提携勢力」として担っていた「イスラーム国」との戦いを放棄した。シリア民主軍は外国人約2000人ら「イスラーム国」の構成員1万人以上を収監しているとされ、その中には女性や子供も含まれている。
現在懸念されているのは、...
2019/08
No.M19-06 2019年6号 「イスラーム国」による対インド、対中国攻撃扇動 「イスラーム国」によるイラクとシリアにおける領域の占拠は解消したものの、同派は依然としてインターネット上を中心に広報活動を続けている。同派の広報の中で避難・誹謗中傷・攻撃扇動の槍玉に挙げられる対象は極めて多岐にわたっており、まさに「「イスラーム国」にとっての“正しいムスリム”」でないもの全てが攻撃対象となっている様相である。週刊の機関誌『al-Naba’』の刊行も続いており、1号あたり12頁での定期刊行を維持している。その一方で、・・・
2019/07
No.M19-05 2019年5号 カブールでの爆破事件  2019年7月25日、アフガニスタンの内務省は、カブール東部で石油省のバスに対しバイク爆弾を用いた自爆攻撃が発生、その後現場近くで別の爆発があったと発表した。また、カブール市内ではこの他1件の爆破事件が発生した。アフガンの保健省によると、爆破により女性と子供を含む10人が死亡し、41人が負傷した。
 石油省の車両と現場近くでのサイドの爆破については、「イスラーム国 ホラサーン州」名義の犯行声明が出回った。
2019/06
No.M19-04 2019年4号 オマーン湾での船舶攻撃事件 2019年6月13日、オマーン湾を航行中の船舶2隻が攻撃を受け、出火する事件が発生した。本稿執筆時点では、本件について犯行の主体やその意図を示す確たる情報は一切出回っていない。そうした中で様々な予断や憶測が出回っているが、その中にはイスラーム過激派諸派の犯行であると疑うものもある。以下では、ペルシャ湾、イランで活動歴がある主要なイスラーム過激派諸派と主な活動を概観する。
2019/06
No.M19-03 2019年3号 平穏に終わったラマダーン  国・地域によって若干の差異があるが、今期の断食月(ラマダーン)が6月3日~4日に終わった。例年、断食月に関しては「宗教心が高まりイスラーム過激派によるテロ行為の危険性が上昇する」との枕詞とともに語られてきた。実際、2018年5月30日(ベルギー)、2017年6月5日(ロンドン)、同年5月23日(マンチェスター)、2016年6月14日(パリ)で爆破事件や暗殺事件が発生し、「イスラーム国」が犯行声明か自称通信社「アアマーク」の短信を発信した実績がある。
 「イスラーム国」が断食月に合わせて模倣犯・共鳴犯の決起を促した扇動で最も著名なものは、・・・
2019/04
No.M19-02 2019年2号 「イスラーム国」がスリランカでの爆破事件について犯行声明を発表する  2019年4月23日夕刻(日本時間)、「イスラーム国」が4月21日にスリランカで発生した同時爆破事件の犯行声明を発表した。また、「イスラーム国」傘下の自称通信社の「アアマーク」も、犯行声明に先立ち事件を「イスラーム国」の兵士が実行したとの短信を発信するとともに、実行犯とされる人物ら8人が自称カリフのバグダーディーに忠誠を誓うさまを収録した動画を発表した。
2019/04
No.M19-01 2019年1号 ターリバーンが2019年の攻勢開始を宣言  ターリバーンが、2019年4月12日より今期の軍事攻勢を開始すると発表した。軍事攻勢は「ジハード・ファトフ攻勢」と命名された。ファトフとはアラビア語で「征服」を意味する。ターリバーンは、・・・
2019/03
No.M18-20 2018年20号 トランプ大統領がシリアでの「イスラーム国」打倒を宣言 2019年2月28日、アメリカのトランプ大統領は「イスラーム国」がシリアで占拠していた地域を全て奪回したと発表した。一方、本稿執筆時点(3月5日)もアメリカが支援するシリア民主軍による「イスラーム国」の最後の拠点に対する攻撃が続いているため、同大統領の認識が実態を反映しているとは限らない。
2019/03
No.M18-19 2018年19号 「イスラーム国」の妻たち イラク、シリアにおける「イスラーム国」の占拠地が縮小するにつれ、同派に合流した外国人戦闘員やその家族の処遇が、彼らを送り出した諸国で政治・社会問題化している。2019年2月だけでも、アメリカが同国の国籍を持つ女性の帰国を拒否したり、イギリスが帰国を希望する未成年の女性の国籍を剥奪したりするなど、報道機関に大きく取り上げられた事例が相次いだ。
しかし、・・・
2019/01
No.18 JNIMによるPKO拠点攻撃 2019年1月20日付で、イスラームとムスリムの支援団(JNIM)のザッラーカ広報製作機構の名義で、「エルサレムはユダヤ化されない。関係正常化の流れに対抗するAguelhok攻勢」と題する声明が出回った。
2018/12
No.17 2018年17号 対日脅威情報:「シャーム解放機構」が日本の対シリア支援に異例の言及 日本政府がシリアの人道・復旧のために発表した支援事業に対し、シリアにおけるアル=カーイダである「シャーム解放機構」が異例ともいえる否定的な論評をした。
2018/11
No.16 2018年16号 模倣犯・共鳴犯に依存する「イスラーム国」  2018年11月15日、「イスラーム国」の週刊機関誌『ナバウ』#156号が出回った。この中に、11月9日に発生したオーストラリアのメルボルンでの襲撃事件についての論評記事が掲載された。そこで、「イスラーム国」による世界各地での襲撃煽動、それらについての「アアマーク通信」の短信発信の実態を示す記述がみられたが、興味深い点は以下の通り。
2018/11
No.15 2018年15号 「イスラーム国」広報誌がエジプトでのコプト教徒に対する攻撃を論評  11月2日、エジプト中部ミニヤ県近くの聖サミュエル修道院に向かうコプト教徒(キリスト教徒)を載せたバスが武装勢力の攻撃を受け、少なくともコプト教徒7人が死亡、12人が負傷する事件があった。この事件に関しては、「イスラーム国エジプト」が同日に犯行声明を出し、「背教エジプト体制によって逮捕された同胞姉妹の報復」のためキリスト教徒を攻撃したと犯行の意図を明らかにしていた。・・・
2018/10
No.14 2018年14号 シリア:邦人ジャーナリストの解放について(大野客員研究員の見解) 埼玉県出身のフォト・ジャーナリスト安田純平氏が解放され、トルコのアンタキア入管施設に保護されているとの報道がなされている。日本政府もこの人物が安田氏である可能性が高いとみているようだ。・・・
2018/10
No.13 2018年13号 アフガニスタン:ターリバーンとアメリカの特使が会談 2018年10月13日、ターリバーンは12日にドーハにて同派の政治局の交渉団(団長:シール・ムハンマド・アッバース・スターンカジー、副団長:アブドゥルサラーム・ハナフィー、政治局員シハーブッディーン・ダラーウル、同カーリー・ディーン・ムハンマド・ハニーフ、同ムハンマド・ザーヒド・アフマドジー、同ムハンマド・スハイル・シャーヒーン)が、アメリカのハリルザード特使(アフガン担当)一行と会談したと発表した。発表によると、・・・
2018/10
No.M18-12 2018年12号 シリア:「シャーム解放機構」がロシア・トルコ合意について声明を発表 2018年10月14日、ロシア・トルコ合意に基づくイドリブ県での「非武装地帯」設置の期限(10月15日)を前に、「シャーム解放機構」(旧称「ヌスラ戦線」。シリアにおけるアル=カーイダ)が、合意について「シャームの革命は死なない」と題する声明を発表した。声明は、合意についての立場表明を遅らせ、「解放地における革命の諸構成要素や内外の選良」との協議を経て、要旨以下の通り表明した。
2018/09
No.M18-11 2018年11号 シリア: ロシア・トルコ合意に対するイスラーム過激派諸派の反応 2018年9月17日にロシアとトルコとがシリアのイドリブ県について、「非武装地帯」の設定などで合意した。これにより、イドリブ県での大規模な戦闘が回避されたとの楽観的な雰囲気があるが、合意を履行するためにはイドリブ県を占拠する武装勢力の主力であるイスラーム過激派の退去や討伐が不可欠である。イスラーム過激派には、トルコと提携関係にあるもの、アル=カーイダと親密な関係にあるもの、外国人からなる集団などが混在している。また、今般の合意に対する諸派の対応も各々異なる可能性が高い。本稿執筆時点での主要団体の反応は以下の通り。


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