№102 パレスチナ:地方選挙を4カ月延期
10月3日、パレスチナ最高裁(西岸、ラーマッラー)は、延期を命令していた地方選挙(2016年9月9日付『中東かわら版』No.89)について、西岸に限定して実施するよう命じた。最高裁は、ガザは違法状態にあるとして、ガザでの選挙実施は求めなかった。同決定を受けて、パレスチナ中央選挙管理委員会は、パレスチナ自治政府(PA)に地方選挙実施の半年延期を要請した。翌4日、PAは、地方選挙を2017年2月まで延期すると発表した。10月4日、国連は、PAの地方選挙実施を歓迎したが、西岸とガザでの選挙実施を要請した。ガザのハマースは、西岸だけでの地方選挙実施を非難した。
評価
パレスチナ最高裁は、最初に停止を命じた9月8日以降、複数の訴えに対応して、小刻みに地方選挙延期を決定し、中央選挙管理委員会は、その決定にふり回されていた。今回、地方選挙は約4カ月延期されることになったが、西岸だけ実施される見通しとなった。国連が求めたように、地方選挙は、西岸とガザの両方で実施されることが望ましい。今後、ハマースとの調整が実現するようであれば、国政選挙実施の前提であるファタハとハマース間の政治対話再開に向けた雰囲気は多少改善するかもしれない。
(中島主席研究員 中島 勇)
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