№101 ヨルダン:ムルキー新内閣の成立
ヨルダンでは、9月20日に下院選挙が実施された後、内閣、上院など一連の新人事が行なわれた。25日、アブドッラー2世国王はムルキー内閣(第一次、2016年6月成立)の総辞職を認め、同時にムルキー首相に新内閣の組閣を命じた。27日、アブドッラー2世国王は上院議員を任命している。翌28日には、ムルキー新内閣(第二次)が成立し、同日初閣議を開催した。29日、アブドッラー2世国王は、下院を11月7日に招集する勅令を出している。
また10月2日、アブドッラー2世国王は、ムハンマド・フレイハート大将を新参謀総長に任命した。同日付で、ザハン前参謀総長は国王軍事顧問に就任した。
ムルキー第二次内閣(9.28)
首相・国防相 ハーニー・ムルキー
副首相兼経済・投資相 ジャワード・アナーニー
副首相兼外相 ナーシル・ジャウダ(ナーシル・ジュデ)
副首相兼教育相 ムハンマド・ズネイバート
(以下、氏名表記音順)
高等教育・科学相 アーディル・トゥワイシー
法相 アウド・ムシャーカバ
労働相 アリー・ガッザーウィ
資源・鉱物相 イブラーヒーム・サイフ
計画・国際協力相 イマード・ファーフーリー
財務相 ウマル・マルハス
公共事業・住宅相 サーミー・ハルサ
内相 サラーマ・ハンマード
文化相 ナビーフ・シュクム
水・灌漑相 ハージム・ナーシル
農業相 ハーリド・フナイファート
外務担当国務相 ビシュル・ハサーウナ
運輸相(10.2) フセイン・ソウーブ
首相府担当相 フワーズ・イルシーダート
通信・情報技術・公共部門改革相 マジド・シュワイカ
保健相 マフムード・シャイヤーブ
政治・議会担当相 ムーサー・マアーイタ
情報担当国務相 ムハンマド・マウムニー(ムーマーニー、モマニ)
環境相 ヤーシーン・ハイヤート
工業・貿易・供給相 ヤアラブ・カダー
経済担当国務相 ユースフ・マンスール
青年相 ラーミー・ウライカート
観光・遺跡相 リーナー・イナーブ
ワクフ・イスラーム聖地相 ワーイル・アラビーヤート
社会開発相 ワジーフ・アザーイザ
地方自治相 ワリード・ミスリー
評価
ムルキー第一次内閣は、約4カ月の短命内閣だったが、これは下院・上院の改選と時期が重なったためのようである。ヨルダンの歴代内閣は、実務内閣的な性格が強い。首相は定期的に交代する場合が多く、首相が変わらない場合は、閣僚が定期的に変更されている。また王族が首相・国防相などに就任するケースがないことが、湾岸の王制諸国と比較した場合の一つの特徴である。そのため結果的に、内閣の政治的な存在感が薄くなっていることは否めないだろう。
(中島主席研究員 中島 勇)
◎本「かわら版」の許可なき複製、転送はご遠慮ください。引用の際は出典を明示して下さい。
◎各種情報、お問い合わせは中東調査会 HP をご覧下さい。URL:https://www.meij.or.jp/