9.26 第6回読書会
- その他の行事
- 公開日:2016/09/26
日時:平成28年9月26日(月)
場所:中東調査会
時間:18時~20時
文献:Norrin M. Ripsman, Jeffrey W. Taliaferro, Steven E. Lobell, Neoclassical Realist Theory of International Politics(Oxford University Press, 2016)
出席者:今井宏平(アジア経済研究所研究員)、溝渕正季(名古屋商科大学准教授)、近藤重人(日本エネルギー経済研究所研究員)、中東調査会:村上
文献の内容:
・国際関係論におけるネオクラシカルリアリズムの確立を目指した一冊。構造的リアリズム、リベラリズム、コンストラクティビズムといった他の理論は、国内要因や国外要因のいずれかのみを重視するあまり説明力に欠ける。ネオクラシカルリアリズムはこうした不足を補えると主張。
・国際システムにおけるパワーとその分散を独立変数とするものの、システムの構造と構造変化要因に注目。さらに、①指導者のイメージ、②戦略文化、③国内組織、④国家・社会関係を媒介変数とする。これにより、危機における政策決定、国際システムの構造変化による外交政策の対応について、より説明ができるようになる。
議論:
・ネオクラシカルリアリズムについて体系的にまとめられており、文章も簡潔で読みやすい。ネオクラシカルリアリズムを用いた方法論についても一章を割いて言及されており、ネオクラシカルリアリズムに関する教科書となりうる一冊。
・国内要因に焦点を当てがちな中東地域研究者にとって、ネオクラシカルリアリズムの視点を通じて自らが重視する要素がどういう位置づけにあるかを整理するのは有用であろう。
・他方、ネオクラシカルリアリズムの中心的要素が何かという点については必ずしも明確ではない。これは本書の課題というより、ネオクラシカルリアリズムというアプローチに付随する課題でもある。媒介変数とする国内要因については、それぞれリベラリズムやコンストラクティビズム、あるいはマルキシズムの要素を恣意的に取り入れたと考えることもでき、何をもってネオクラシカルリアリズムと呼ぶべきなのかは疑問。
以上