イベント情報

1.14 第4回読書会

  • その他の行事
  • 公開日:2016/01/19

日時:平成28年1月14日(木)

場所:中東調査会

時間:18時~20時

文献:Kjetil Selvik and Bjørn Olav Utvik (eds.), Oil States in the New Middle East: Uprisings and stability, Routledge, 2015

出席者:近藤重人(日本エネルギー経済研究所研究員)、高橋雅英(外務省専門分析員)、中東調査会:村上

 

文献の内容:

本書の目的

・2011年アラブ政変が中東産油国に及ぼした影響を調査すること
・中東産油国の長期的な安定性について議論すること
→アラブ政変時の大衆デモにいかに対応し、乗り切ったのかを産油国間で比較

アラブ政変時において、中東産油国の政治体制の頑健性が示される(例外:リビア)
→アラブ政変と石油収入からの影響は各国の社会的・歴史的な特徴に起因

本書の注目点

国家・社会関係(近代化の政治コスト)、経済の持続性、イデオロギー的な脆弱性と対抗戦略の模索

・レント収益の配分についても、国家間で区別することが重要
→研究の視点をレンティア国家論から、配分国家の政治に移すことで、大衆デモの発生原因と権威主義体制の持続性の両面について政治経済的な分析が可能になるのではないか

 

議論:

・アラブの春における産油国の頑健性の問題について、レンティア国家論の再考・修正も含めて正面から取り扱っている意欲的な著作。全体的な議論(2章配分国家政治、3章若者、4章外国人労働者、11章経済的要因)と、各国の事例(5章サウジ、6章クウェイト、7章バハレーン、8章イラク、9章アルジェリア、10章リビア)のバランスがとれている。

・産油国の経済状況(豊かな産油国と貧しい産油国)など、産油国間の差異として見るべき指標を提示しているのは興味深い。今後、発展が求められる研究分野である。汚職の度合いや配分政策の巧拙など、数値化しにくい指標については、地域研究者が果たせる役割は大きい。個別の国の事情について深く見ていく必要がある。

・産油国のなかでリビアの政治体制だけが崩壊した要因を、国内的な理由(配分政策や改革の失敗、抑圧的な手法の偏重)のみに求めるのは難しいのではないか。国際社会による軍事介入がなかった場合、リビアの政治体制がどうなっていたかについては、注意深く検討する必要がある。

 

以上

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