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2022年2号 モザンビークにおける「イスラーム国」の伸張

No.M22-02 2022年2号 モザンビークにおける「イスラーム国」の伸張

 2022年5月9日、「イスラーム国」(IS)は初めて「モザンビーク州」名義での活動声明を発出した。タンザニアと国境を接する、モザンビーク北東部のカーボ・デルガード州で国軍の屯所を襲撃したというものである。以降、モザンビーク州は同地で武装活動を継続している。
 ISによる州の新設自体は特段珍しくはない。直近では、2022年3月に「サヘル州」名義での活動声明が出された。同州は、フランスのマリからの軍事撤退発表(2022年2月)を受けてIS「西アフリカ州」から分離・独立した組織である 。このためフランスは軍事撤退を予定通り進めるためにもマリ政府によるサヘル州掃討をバックアップした。この結果、サヘル州の武装活動は次第にフランス・マリ両政府の支援を受けた民兵組織「アザワド救済運動」(MSA、2016年9月設立)との闘いを中心とした。その後、マリ・ニジェールを舞台に約1週間で作戦総数11・殺傷総数445人という戦績を残したものの、政府軍から大規模な攻撃を受けたとも報じられ 、同州は表舞台から姿を消した。
 この先例と照らし合わせて、モザンビーク州が特異な存在と言い切るのは難しく、サヘル州同様に短期間で姿を消す可能性も否定できない。したがって、本レポートではモザンビーク州の誕生をIS、ないし過激派全体にとっての何かしらエポックメイキングな出来事と位置づけるわけではなく、現状と短期的な見通しから同州の動向を分析したい。

【目次】
1. 「モザンビーク州」の新設
2. モザンビーク州の武装活動概要と分布
3. 「中央アフリカ州」との役割分担
4. モザンビーク州新設の思惑と注目点


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