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2021年17号 「イスラーム国」の新首領にアブー・ハサン・ハーシミー・クラシー
No.No.21-17 2021年17号 「イスラーム国」の新首領にアブー・ハサン・ハーシミー・クラシー
2022年3月10日、「イスラーム国」(IS)の広報部門・フルカーン機構は、「ある者たちはアッラーとの誓いを果した」(クルアーン部族連合章23節、12分56秒)と題するアブー・ウマル・ムハージル公式報道官の音声演説を発信し、アブー・ハサン・ハーシミー・クラシーが「信徒の長」すなわち「カリフ」に任命されたと発表した。2月3日に米軍の軍事作戦でISの自称カリフ、アブー・イブラーヒーム・クラシーが殺害されたが、ISは本件に関して1カ月以上声明を出してこなかった。本声明によって、ISはアブー・イブラーヒーム・クラシーの死亡を認めたことになる。また、2019年10月から公式報道官であったアブー・ハムザ・クラシーも死亡したことを明らかにした。
本稿は、公式報道官声明の内容を要約した上で、最近のISの動態の分析を踏まえ、新指導者(カリフ)の任命が今後ISに影響を与えうるのか考察する。
【目次】
1.公式報道官声明の要約
2.新カリフの任命で何が変わるか