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2019年14号 「イスラーム国」の週刊誌の解析#1
No.M19-14 2019年14号 「イスラーム国」の週刊誌の解析#1
2019年3月末にイラクとシリアにおける「イスラーム国」の占拠地域が解消したが、その後も同派が「復活」する可能性が論じられている。これは、外国人戦闘員の勧誘や移動のメカニズムが依然として解体されていない、「イスラーム国」対策が完遂せずに中途半端な状態にあるなどの懸念に裏打ちされてる。例えば、欧米諸国が処遇に苦慮している「イスラーム国」の家族や元構成員の問題、トルコがリビア紛争に派遣したシリアの武装勢力の中に「イスラーム国」の者が潜入し、リビアやEU諸国に移転する恐れがある問題、アフリカ大陸南東部やサハラ地域に「イスラーム国」が進出している問題、そしてアメリカとイランとの対立が昂じることにより、イラクやシリアでの「イスラーム国」討伐が滞る恐れがある問題が、「イスラーム国」対策の着実な実行を妨げる要因となろう。
本稿は、そうした状況を念頭に、「イスラーム国」自身の広報活動を詳細に分析することにより、同派の関心事項や活動状況、さらには思考・行動様式を解明する試みの一環である。