『中東研究』第536号発行のお知らせ
『中東研究』第536号(2019年度Vol.Ⅱ)が発行されました!
本号では「中東「再生」と安定の試み」と題する特集を組み、「アラブの春」後に政治変動が続く中東諸国において国内秩序を安定化させようとする動きに注目しました。
例えば、反対勢力の取り締まりによる政治体制維持の試み、反対勢力による生き残りの試み、紛争後の民生再生の試み、新たな政治秩序形成の試みなどが見られます。このような、政治秩序を「アラブの春」前の状態に戻したり安定化させたりする試みは成功しているのか、そうではないのか、を検討することによって、「アラブの春」の現段階での帰結について考察します。
所収論文では、エジプトのムスリム同胞団、トルコの公正発展党政権、ブーテフリカ大統領辞任後のアルジェリア、シリアの復興、サルマーン国王・ムハンマド皇太子時代のサウジアラビアが取り上げられております。
このほか「最近の動向」では、2019年4月のイスラエル国会選挙、イラン核合意破棄後のJCPOAをめぐる情勢が分析されています。
本号にも、昨今の中東情勢を見通すべく、時宜にかなった論文が多数集まりました。是非お手にとってご覧いただければ幸甚です。
目次
【大使の見たままに】
オマーンからイランへ/齊藤 貢
【特集:中東「再生」と安定の試み】
エジプトにおけるムスリム同胞団の危機と生存戦略/横田 貴之
公正発展党の内政における政権維持の手法(2002年~2019年)/今井 宏平
ポスト・ブーテフリカ体制期の混乱――反ブーテフリカ抗議デモの長期化と軍部の台頭/高橋 雅英
シリアの復興の現状と課題/髙岡 豊
サウジアラビアが目指すイスラーム言説を通じた秩序形成――サラフィー主義、「中道・穏健」、「1979年以前」/高尾 賢一郎
【最近の動向】
自称される右派、蔑称としての左派――2019年4月のイスラエル国会選挙/浜中 新吾
JCPOAの課題――イランを巡る現状に対する考察/ 近藤 百世
【書評】
川上 泰徳 著『シャティーラの記憶――パレスチナ難民キャンプの70年』/小早川 敏彦
髙岡 豊/溝渕 正季 編著『「アラブの春」以後のイスラーム主義運動』/鏡 武
定価:(本体2,000円+税) ※送料別
※『中東研究』は紙版の他、セキュリティ付きのPDFファイルによるCD/DVD版も販売しております。