『中東研究』ご案内

『中東研究』第525号発行のお知らせ

『中東研究』第525号(2015年度 Vol.Ⅲ)が発行されました!

本号では、「イラン核合意後の国際情勢と中東地域秩序」と題する特集を組みました。反米を革命政権の国是としてきたイランにおいて、国内の諸勢力にとり核問題がどのような位置づけにあったのかを分析したものが駒野論文です。また鈴木論文では、アメリカ・イランの相互不信が醸成された経緯を整理し、両国における核合意の意義を論じています。ユーラシア国際政治の視点から分析する湯浅論文は、米欧諸国とロシアの関係悪化、シリア紛争の深刻化により、ロシア・イランの二国間関係の重要性が高まっていると指摘しています。岩崎論文は価格崩落中の国際石油市場を、OPECと非OPEC、特に急増する米国シェールオイル生産との駆け引きから読み解きます。緊迫するイラン・サウジアラビア関係を冷戦末期から遡って分析する中村論文は、サウジアラビアがかつて対イラン宥和政策を行っていたことを指摘しながら、国境を越えた影響力を行使しようとする両者の複雑な関係を提示しています。末近論文は、レバノンを拠点とし米国・イスラエルへの対抗者を自任してきたヒズブッラーが、シリア内戦に介入する中で「イスラーム国」をはじめとする「タクフィール主義者」との戦いに自らを位置づけなおす過程を析出しています。イラン・パキスタン関係へと視点を投じた栗田論文では、サウジアラビア、インドと両国との関係を概観しつつ、経済制裁解除後のエネルギー協力への地政学的制約は大きくないことを示しました。

巻頭には羽田・前駐イラン大使の論考を据え、「最近の動向」には、イスラエル極右の脱「周縁」(森論文)、難民問題とハンガリー政治(小林論文)を掲載しています。

本号にも、昨今の中東情勢を見通すべく、時宜にかなった論文が多数集まりました。是非お手にとってご覧いただければ幸甚です。

目次

【大使の見たままに】
イラン核合意とイラン情勢/羽田 浩二   

【特集: イラン核合意後の国際情勢と中東地域秩序
核問題合意のイラン国内政治への影響/駒野 欽一
イラン核合意の米・イラン関係への影響/鈴木 一人
ユーラシア複合危機の中のイランとロシア/湯浅 剛
価格崩落下の国際石油市場/岩﨑 徹也
サウディアラビア・イラン間の安全保障のジレンマ――全方位均衡論の応用から/中村 覚
クサイルからの道――ヒズブッラーによるシリア「内戦」への軍事介入の拡大/末近 浩太
イラン核合意と南アジア――パキスタンの視点から/栗田 真広

【最近の動向】
イスラエル極右の脱「周縁」――カハネからリーベルマンに至る水脈と欧米・中東の多文化共生社会の挫折/森 まり子
難民問題とハンガリー政治――「未来なき黙示」?/小林 祐介


【書評】
中東調査会イスラーム過激派モニター班『「イスラーム国」の生態がわかる45のキーワード』/小早川 敏彦  
Nuno P. Monteiro,  Theory of Unipolar Politics/ 溝渕 正季              
Mohannad Sabry, Sinai: Egypt’s Linchpin, Gaza’s Lifeline, Israel’s Nightmare/金谷 美紗

 

定価:(本体2,000円+税) ※送料別

※『中東研究』は紙版の他、セキュリティ付きのPDFファイルによるCD/DVD版も販売しております。

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