『中東研究』ご案内

『中東研究』第524号発行のお知らせ

『中東研究』第524号(2015年度 Vol.Ⅱ)が発行されました!

  本号では、中東の地域大国トルコの内部で起きている大きな変化について、「岐路に立つトルコ」と題して特集を組みました。トルコでは2002年からエルドアンの率いる公正発展党(AKP)が議会の過半数を占めてきましたが、2015年6月の総選挙で初めて議席が過半数を割る「敗北」を喫しました。この要因について、同選挙におけるクルド系政党の躍進の観点から分析したものが金子論文です。また、AKP政権下初期における経済の高成長とその後の減速について、間論文はエルドアン大統領による経済政策への政治介入が原因であると論じています。岩坂論文は、かつて大きな権力を持っていた軍がAKP政権下でいかにして権益を縮小させられていったのかを段階的に分析するとともに、経済的権益は依然として確保していると指摘しています。そして、吉村論文では、アルメニア人虐殺の認定を巡るトルコとアルメニアの対立は「虐殺100周年」にあたる2015年を目前にして、二国間関係のみならずアルメニア国内、欧米諸国などの利害が錯綜する複雑な国際政治が展開されていることを示しています。

  巻頭には加茂・前駐UAE大使の論考を据え、「焦点」には、油価が下落するなか産油量も低迷し炭化水素資源の輸出収益の再配分政策を維持できなくなりつつあるアルジェリアについて(高橋論文)、「最近の動向」には、対「イスラーム国」戦争に見られるイランの革命防衛隊とイラクの「バドル軍」の密接な関係(松永論文)、南北ではなく東西に見られるチュニジアの地域格差と選挙参加の関係性(岩崎論文)、アフガニスタンにおける政府とターリバーンとの和平協議の進展について(青木論文)、それぞれ>論文を掲載しています。

  本号にも、昨今の中東情勢を見通すべく、時宜にかなった論文が多数集まりました。是非お手にとってご覧いただければ幸甚です。

目次

 【大使の見たままに】
日・UAE関係と最近のUAE情勢/加茂 佳彦

【特集: 岐路に立つトルコ】
2015年トルコ総選挙――人民の民主主義党の躍進とエルドアン大統領の「敗北」/金子 真夕
AKP政権下のトルコ経済/間 寧
トルコにおける政軍関係の変容――軍の権益の段階的縮小と今後の展望/岩坂 将充
「アルメニア問題」に析出する国際政治――トルコ・アルメニア関係、周辺諸国と欧米の関与/吉村 貴之

【焦点: 中東の経済・ビジネス・エネルギー】
油価下落に直面するアルジェリア――レント収入の再分配政策の継続性/高橋 雅英

【最近の動向】
あの「聖なる防衛」をもう一度か?――イラン・イスラーム革命防衛隊のイラクの対「イスラーム国」戦争支援の背景/松永 泰行
チュニジアの2014年選挙と地域/岩崎 えり奈
ターリバーンとアフガニスタン政府の和平協議――ムッラー・ウマルの死とその波紋/青木 健太

【書評】
Mark L. Hass, The Clash of Ideologies: Middle Eastern Politics and American Security/今井 宏平 
今井 宏平『中東秩序をめぐる現代トルコ外交―平和と安定の模索―』/村上 拓哉

 

定価:(本体2,000円+税) ※送料別

※『中東研究』は紙版の他、セキュリティ付きのPDFファイルによるCD/DVD版も販売しております。

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