中東かわら版

№37 イラン:「アジア・チーター」の推定生息数が27頭に増加

 6月7日、イラン・メディアは、イランに生きる「アジア・チーター」の推定の生息数が、これまで知られていた17頭から27頭に増加したと報じた。8日から9日にかけては、5頭の子どものチーターを引き連れた母チーターの姿も伝えられている。現在、イラン北東部ハール・トゥーラーン国立公園は、アジア・チーターの唯一の生息地とされ、20頭が同地に生息しているという(残りは人工飼育と思われる)。

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 チーターの現在の主な生息地はアフリカ大陸だが、「チーター」がインドの言語であるヒンディー語に由来するように、かつてはインドをはじめ、アジア各地に生息していた。しかし、現在アジアにおけるチーターの生息地はイランを除いて存在しないと言われている。

 こうしたことから、チーターは近年、イランの国民的シンボルとなってきた。2014年ワールドリーグ・バレーボールのイランでの試合では、チーターのマスコット・キャラクターが登場し、また同年と2018年のサッカー・イラン代表チームのユニフォームにはチーターの図柄が採用された。2022年のユニフォームからは消えたものの、2026年のユニフォームにはチーター柄が復活している(代表チームのメンバーを紹介する公式パンフレットにも、チーターの写真が真ん中に配置されている)。

 他方、チーターの保護活動をめぐっては、「安全保障上の問題」が取り沙汰されたこともある。2018年1月下旬、チーターの保護活動を行っていた「パールスィヤーン野生生物ヘリテージ協会」の関係者ら7人がスパイ容疑で逮捕され、うち1名が拘置所で「自殺」、残り6名のうち4名には一時「地上に退廃を広めた罪」(最も重い刑罰は死刑)が下された(最終的に6~7年の禁固刑となり、2024年5月までに全員、刑期を終えるか恩赦により出所)。彼らが拘束され、有罪判決を受けたのは、チーターの生息数を推定するために設置した遠隔カメラがスパイ行為のための「隠れ蓑」とみなされたことにあったようだ。2026年2月末からの米国・イスラエルによるイランへの攻撃で、全国の山岳・沙漠地帯に1000カ所以上あるともされる秘密の「地下ミサイル施設」の一部が爆撃されたのは、環境保護活動家たちが米国・イスラエルのスパイとして活動していた証左であるとのうわさも一部で立った。上記環境活動家らが拘束された当時、環境庁次官を務めていた水資源管理の専門家であるカーベ・マダニー氏は、こうした「疑惑」を否定している。なお、マダニー氏は2026年3月、「水のノーベル賞」とも言われるストックホルム水大賞を史上最年少44歳で受賞した人物である。

 交通事故(チーターの生息地であるハール・トゥーラーン国立公園には、イラン首都テヘランと第二の都市マシュハドを結ぶ幹線道路が横切っている)や野生のガゼルの減少などが、チーターの生存を脅かす最大の要因となっているとされる。ある専門家によると、2025年6月のいわゆる「12日間戦争」では8450ヘクタールの野生生物の生息地が被害を受けたという。2026年2月末に始まる米国・イスラエルの空爆によって、野生生物の生息環境のさらなる悪化が懸念される。

(研究主幹 斎藤 正道)

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