№82 イラク:ザイディー内閣の空席の閣僚を任命
- NEW2026イラク湾岸・アラビア半島地域
- 公開日:2026/10/20
2026年10月15日、国会は以下の通りのザイディー内閣の副首相・空位の閣僚を任命する閣僚人事を信任した。
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氏名 |
役職 |
特記事項 |
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ムフシン・マンダラーウィー |
副首相 |
国会議員 |
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ムハンマドタミーム |
副首相 |
国会議員 |
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ライス・ハズアリー |
副首相 |
国会議員(アサーイブ・アフル・ハック) |
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ヤーシル・マーリキー |
内相 |
ヌーリー・マーリキー元首相の親族 |
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ナーイフ・シャンマリー |
国防相 |
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クタイバ・マジード |
計画相 |
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ハイダル・ハサニー |
高等教育相 |
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ヤーシーン・イーサーウィー |
文化相 |
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リバーズ・ハムラーン |
建設・住宅相 |
クルド人 |
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ムハンマド・ムーサウィー |
社会・労働相 |
アサーイブ・アフル・ハック |
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サファー・カナーニー |
青年・スポーツ相 |
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ムハンマド・ダラージー |
デジタル経済相 |
元建設・住宅相 |
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アリー・ダヒーリー |
観光相 |
殉教者の主部隊 |
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ムハンマド・サムアーン |
国務相 |
少数派担当。トルクメン戦線 |
なお、副首相、デジタル経済相、観光相、国務相(少数派担当)はザイディー内閣組閣当初は想定されていなかった役職が新設されたものである。また、副首相兼難民・避難民相は諸会派の調整がつかず、信任投票に付されなかった。
評価
2026年5月のザイディー内閣成立の際に空席となっていた内務、国防などの役職を埋めるとともに、副首相、デジタル経済相、観光相、少数派担当国務相が新設された。今般の人事で、空位の閣僚職は難民・移民相が残るのみとなった。新設された役職については、既存の役職との役割分担などが不明確なうえ、副首相職はこれまでの内閣で複数任用されてきたが、行政改革に反する役職の増設との批判が出つつある。また、ライス・ハズアリー副首相は民兵組織アサーイブ・アフル・ハックのカイス・ハズアリー指導者の兄弟で、同兄弟は2020年にアメリカ国務省によりテロリストとして制裁対象に指定されている。アサーイブ・アフル・ハックは、ザイディー内閣の懸案である人民動員隊の処遇で国家への武器の引き渡しに同意する意向を表明しているが、武器引き渡しを表明していない「殉教者の主部隊」からも入閣者が出ている。このような点は、「イランの民兵」を嫌うアメリカとの間の懸案となりうるものだが、今般の人事についてはすでにアメリカの「裁可」を得たものであるとの説もある。「イランの民兵」と呼ばれる民兵を擁する諸派はイラクの国会・内閣では与党の地位を占める党派が多いため、国家による武器の管理の問題だけではない様々な利害関係や権益の配分の問題から、これらの諸派への権益・役職の配分が不可欠であることが如実に示されている。
イラクではアメリカ・イスラエルとイランとの紛争で石油輸出が停滞し経済危機が深刻化している。また、水資源の利用と環境汚染の問題なども懸案となっており、迅速な意思決定と政策の実践が必要と思われる。アメリカが率いる連合軍のイラクでの任務完了を受けた、「イスラーム国」対策などの治安の掌握も重要課題である。しかし、今般の人事は、諸党派や様々な民族、宗教・宗派集団に比例配分的に権益を配分せざるを得ないという、イラクの政治体制が抱える根本的な欠陥と、上記の様々な懸案への迅速な対処との妥協・均衡の結果との側面もある。「挙国一致」を旨とするものとして設計されているイラクの政治体制と、その下での当事者の振る舞いとの間の調整は今後も重大な課題となり続けるだろう。
(特任研究員 髙岡 豊)
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