№81 イラン:アフラーギー氏が新たな国防軍需相に信任
- NEW2026イラン湾岸・アラビア半島地域
- 公開日:2026/10/19
2026年10月18日、国会は新たな国防軍需相の候補に指名されていたメフルダード・アフラーギー・ケターブチー氏を、賛成237票、反対15票、棄権0票(出席議員277名)で信任した。前任のアジーズ・ナシールザーデ氏は、2026年2月28日の米国・イスラエルによる爆撃で殺害され、マジード・エブノッレザー氏が大臣代行を務めていた。
アフラーギー氏が信任されたことに対し、アフマド・バヒーディー革命防衛隊総司令官及びアミール・ハータミー正規軍総司令官は祝辞を寄せ、同氏への支持を表明した。
評価
アフラーギー氏は、これまで一般的にはほぼ無名で、彼の写真がメディアで公になったのは、彼が国防軍需相候補として指名された10月6日以降のことである。
同氏は、1958年9月生まれで、アミーレ・キャビール工科大学から化学で学士号を、マーレク・アシュタル工科大学から「戦略マネージメント」で修士号を取得した。同氏は、1994年に「防衛産業研究所長」として、ロケット砲「ゼルザール2」の開発に関わったことや、「シャヒード・バーゲリー工業グループ」の代表として弾道ミサイルの開発に携わったこと、2014年にロウハーニー政権のデフガーン国防軍需相から、国防軍需省航空宇宙産業機構の代表に任命されたことが知られているが、これ以外の経歴はほとんど知られていない。弾道ミサイル開発への関与から、2007年に採択された国連安保理決議第1747号で制裁対象に指定されている。
ペゼシュキヤーン大統領は国会での信任会議で、アフラーギー氏は「イラン・ミサイル開発の父」と呼ばれるハサン・テフラーニーモガッダム准将(2011年に軍需工場での爆発で事故死。イスラエルによる謀殺説も国外で報じられたが、イラン当局は否定)、「イラン核開発の父」と呼ばれるモフセン・ファフリザーデ元防軍需省研究刷新機構長官(2020年にイスラエルによって暗殺)、及びアミールアリー・ハージーザーデ前革命防衛隊航空・宇宙軍司令官(2025年の12日間戦争で殺害)らと緊密に協力してきた経験を持つ人物として紹介している。アフラーギー氏に対する国会安保外交委員会での審問会に出席したモフセニーサーニー議員も、同氏を防衛技術の開発に42年間にわたって携わってきた人物だとしている。
一部報道によると、アフラーギー氏は固形燃料によるミサイル推進装置の開発に携わったという。固形燃料の利用により、イランはミサイルの射程距離を伸ばし、発射に向けた準備期間を短縮させることに成功したとされる。
アフラーギー氏は国会での演説で、地対地ミサイルや巡航ミサイルの精度・射程距離・破壊力の向上や各種ドローンの開発により抑止力の強化を図ることや、国防軍需省職員の待遇改善に力を注ぐ方針などを示しており、イランは今後も新たな国防軍需相の下で軍備の拡大を進めることになるだろう。
なお、アフラーギー氏は国会の場に、軍服ではなく、一般的な服装を身に着けていたことから、彼はいわゆる軍人ではないと考えられる。軍人以外が国防軍需相を務めるのは、第一期ラフサンジャーニー政権(1989-1993年)で国防軍需相を務めたアクバル・トルカーン氏以来、33年ぶりである。
(研究主幹 斎藤 正道)
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