中東かわら版

№68 オマーン:アメリカのトランプ大統領がオマーンを爆撃すると脅迫

 2026年8月17日の『フォックス・ニューズ』は、アメリカのトランプ大統領が「ホルムズ海峡でのアメリカの措置を妨害するのならば、オマーンを爆撃する」と脅迫したと報じた。これは、インタビュー番組中でホルムズ海峡の通行問題についてのイランとオマーンとの交渉に関する質問への回答の中での発言で、インタビューアーはSNSで「大統領はオマーンに対し、アメリカの(対イラン)海洋封鎖とホルムズ海峡支配のための努力を妨害しないよう警告した」と説明した。

 イランとオマーンは、ホルムズ海峡を通過する船舶が通行する航路の設定について交渉を続けている。8月初頭、イラン政府は航路についてオマーンと合意に達したと発表した。ただし、イラン筋はホルムズ海峡の再開は(対イラン海洋封鎖についての)アメリカの態度にかかっていると強調している。

評価 

 オマーンは、イランの近隣国であり、特にホルムズ海峡の南岸を領有することから同海峡の封鎖問題の重要な当事国である。同国にとって、領域が紛争の舞台となることは避けたいところだ。その一方で、オマーンの外交的立場はアメリカ、イギリス、GCC諸国との同盟関係に基づくものであり、過去にこれらの同盟国とイランとの間に生じた軋轢の解消でオマーンが仲介の役割を果たした実績があるとしても、それは自国の外交的立場を踏まえた「舞台裏」での仲介を旨とするものだった。したがって、今般の紛争の中でオマーンがホルムズ海峡の封鎖や再開問題で直接責任を負うような立場で表舞台に立つことが、同国にとって望ましいことなのかには疑問がある。上記のトランプ大統領の脅迫は、そうしたオマーンの立場や外交努力に対する理解を根本的に欠くものであり、このような態度はペルシャ湾岸諸国や周辺地域の諸国が希求する「地域の安全と安定の保持、緊張緩和」のための努力の余地を限りなく狭めることにつながるだろう。

(特任研究員 髙岡 豊)

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