№55 イラン:米国が2夜連続でイランを空爆
- NEW2026イラン湾岸・アラビア半島地域イスラエルトルコ
- 公開日:2026/07/09
現地時間7月8日夜から9日未明にかけて、米中央軍(CENTCOM)はオマーン海に面する港湾都市チャーバハールをはじめ、イラン南東部シースターン・バルーチェスターン州コナーラクや内陸に位置する同州イーラーンシャフル、ホルモズガーン州のバンダルアッバースやシーリークを空爆した。米軍によるイランへの空爆は2日連続。8日未明の攻撃では、ペルシア湾に面するフーゼスターン州、ブーシェフル州及びホルモズガーン州にある80の地点が爆撃され、革命防衛隊員1名と正規軍の軍人8名が死亡したことが、当局から発表されている。
イランの革命防衛隊及び正規軍も8日、バハレーン及びクウェイトにある米軍基地に対して、ミサイル及びドローンによる報復攻撃を実施したことを発表した。
イラン外務省は米国による攻撃を受けて発出した声明で、湾岸諸国に対し、イランへの侵略に自国の領土を使用させないよう求め、イランに対する侵略へのいかなる協力も犯罪の片棒を担ぐ行為とみなされ、イラン軍による攻撃の対象となると警告した。
評価
7月9日には、2026年2月28日にイスラエルの爆撃で死亡したアリー・ハーメネイー前最高指導者の遺体が同師の生地マシュハドで埋葬される予定となっており、国内では米国に対する報復ムードが高まることが予想される。トランプ米大統領がNATO首脳会合に出席するためにイランの隣国トルコのアンカラを訪問中であり、米軍の攻撃命令もトルコから出されたことから、一部強硬派からはトランプ大統領が滞在しているアンカラのホテルを爆撃すべきだとの声も出ている。
戦闘の計画・立案を行うハータモル・アンビヤー中央基地も8日、米国が「ホルムズ海峡問題に介入」することを認めるわけにはいかないとした上で、「商船やタンカーがホルムズ海峡を航行するにあたって、唯一の安全な航路はイランが定めた航路であることを再度表明する」と発表しており、ホルムズ海峡の管理・支配をめぐるイランと米国の対立が解消される見通しは立っていない。
トランプ大統領もアンカラでのメディアとのインタビューで、イランとの停戦は「終わったと思う。彼らとは取引したくない。彼らはクズだ」、「彼ら(イラン人)は病気だ。彼らの指導者たちも病気だ」と述べるなど、侮辱を交えてイランを非難しており、イラン・米国間の戦闘の拡大が懸念されている。
ただ、同大統領は、イランとの全面的な戦闘が再開するようなことはないと思うとも述べており、米軍による海上封鎖を含め、今年4月から5月までの「平和でも戦争でもない」状態に逆戻りする可能性もある。
【参考】
「イラン:米中央軍、イラン南部ホルムズ海峡沿岸を空爆」『中東かわら版』No.53。
(研究主幹 斎藤 正道)
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