中東かわら版

№49 オマーン:ホルムズ海峡の通過についてのイランとの共同声明

 2026年6月23日、ハイサム国王とブーサイーディー外相は、オマーンを訪問したイランのガーリーバーフ国会議長、アラーグチー外相と各々会談した。両国は、ホルムズ海峡の通航問題について要旨以下の通り共同声明を発表した。

 *オマーンは、アメリカとイランとが調印したイスラマバード覚書と、対話と連携の重要性への支持を確認する。

*オマーンとイランは、ホルムズ海峡沿岸国としてホルムズ海峡での両国の領海に対する主権を強調しつつ関係する国際法の規定に従って安全な海峡通過への責務を確認する。同様に、双方はイスラマバード覚書の内容に沿ってホルムズ海峡に関する諸問題を協議した。

*双方は、本件についての対話を両国外務省の合同作業班を通じて協議することで合意した。協議の目的は、ホルムズ海峡の将来の航行管理と航行のために提供される諸サービス、付随して生じる諸経費について国際的基準に沿って合意に至ることである。これについて、双方は地域の沿岸諸国、関係するあらゆる当事者と協議することで合意した。

*双方は、ホルムズ海峡についての全ての手配は、同海峡に対する両国の主権と権利を完全に尊重すべきであるということを強調する。

*両国は、ホルムズ海峡を安全で国際的な船舶航行に開放された海上交通路として保持することを確認した。また、両国は海洋の安寧、航行の自由、地域の安定のため協力を続けることの重要性を確認した。

評価 

 オマーンは、ホルムズ海峡の南岸のムサンダム半島を領有する、同海峡の通航問題の主要な当事国である。そのため、ホルムズ海峡の管理と同海峡の海上航行の問題でオマーンとイランとの間での協調と意思疎通は不可欠である。ただし、この事実はホルムズ海峡の安全航行の保証やなにがしかのサービスの提供者として外交・安全保障場裏で前面に立つことがオマーンにとって望ましいかとは別問題であろう。これまでオマーンは、西側諸国の同盟国・GCC加盟国としての確固たる立場に加え、イラン、イエメンなどで発生する周辺諸国や西側諸国との外交問題を水面下で調停・仲介する役割を果たしてきた。ホルムズ海峡の通航問題でオマーンの役割が強調されることは、これまでのオマーンの外交上の振る舞いに鑑みて今後の協議や枠組み作りで現実的かつ穏当な結論に至るために役立つと期待できる一方、オマーンの外交方針や国際場裏での役割を根本的に変質させる契機になることもありうる。

(特任研究員 髙岡 豊)

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