№23 イラン:ガーリーバーフ国会議長を団長とする高官団がカタルを訪問
5月25日、ガーリーバーフ国会議長、アラーグチー外相及びヘンマティー中央銀行総裁がカタルを訪問した。訪問団は、カタルのムハンマド・ビン・アブドッラフマン首相兼外相と会談する予定だという。
「イラン国営通信」によると、この訪問は「停戦合意における米国のコミットメントに関連した諸分野で、カタルが協力する用意があるのかどうかを確かめること」が目的だという。カタルには約60億ドルのイラン資産が凍結されており、今回ヘンマティー中央銀行総裁が訪問団に加わっていることを考えると、この資産の凍結解除をめぐる協議が訪問の大きな目的の一つとなっていると思われる。なお、5月22日にもカタルの訪問団がイランを訪問し、アラーグチー外相と協議を行っている。
カタル・メディアの「アルジャジーラ」も、情報筋の話として、カタルの仲介によりイランの凍結資産の解除について同国と米国との間で合意が得られたと指摘しており、資産の凍結解除を突破口として、イランと米国の間で和平合意が結ばれる可能性が出ている。
評価
5月24日、ルビオ米国務長官は、イランがホルムズ海峡を開放すれば、米国はイラン核問題について「真剣な協議」に入る用意があると述べ、戦闘の恒久的な終結とホルムズ海峡の開放でイランと米国が暫定的に合意し、その後で核問題について米国とイランの間で協議を行うという道筋が示されている。トランプ米大統領も26日付のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、濃縮ウランの米国への引き渡しにこだわらずに、国際原子力機関の立会いのもと、イランと協調して、その他の受け入れ可能な場所で破壊されることに同意する旨を投稿し、(AXIOSのラビッド記者によれば)態度を軟化させている。
しかし、カタルにあるイラン資産の凍結解除と引き換えに、米国が求めるようなホルムズ海峡の恒久的な開放、さらには高濃縮ウランの搬出ないし破壊が実現されるのかは依然として不透明であり、濃縮ウランや核施設の取り扱いをめぐって交渉が再度行き詰まる可能性もある。
また、イラン側が求める停戦のそもそもの前提である「あらゆる戦線での戦闘の終結」自体が危うい。日本時間5月26日午前、米国のCENTCOMは「自衛権の行使」としてイラン南部のミサイル施設及び機雷敷設用の船舶を攻撃したと発表しており、またイスラエルもレバノン南部でヒズブッラーを標的とした爆撃を行い、数名が死亡している。イランがこれを停戦違反とみなせば、和平協議は暗礁に乗り上げるだろう。
【参考】
「イラン:モジタバー最高指導者、濃縮ウランの国外搬出に反対か」『中東かわら版』No.21。
(研究主幹 斎藤 正道)
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