№145 イラン:ラーリージャーニー国家安全保障最高評議会書記、殺害される
- NEW2026湾岸・アラビア半島地域イラン
- 公開日:2026/03/18
2026年3月17日、イランの国家安全保障最高評議会(SNSC)事務局は、同評議会のトップを務めるアリー・ラーリージャーニーSNSC書記がイスラエルの攻撃によって死亡したことを確認した。これより前、イスラエルのカッツ国防相が同書記の殺害を発表していた。この攻撃で、同書記の息子のモルタザー氏、及びアリーレザー・バヤートSNSC安保担当副書記も殺害された。
他方、革命防衛隊は同日、同隊傘下の民兵組織バシージのゴラームレザー・ソレイマーニー司令官がイスラエルの攻撃によって死亡したことを確認した。バシージのガーセム・ゴレイシー筆頭副司令官も殺害されたとの一部報道もある。バシージは、治安の維持や市民の綱紀粛正に携わってきた組織で、イスラエルは最近、同組織への攻撃を強化していた。
評価
殺害されたラーリージャーニーSNSC書記は、2025年末から翌2026年1月まで続いた抗議活動の鎮圧に辣腕を振るったとされ、2月28日に殺害されたアリー・ハーメネイー前最高指導者から全幅の信頼を得て、同指導者に代わり、国の運営を主導していたとされる。SNSCは、イランの安全保障・治安、及び外交の重要事項について意思決定を行う権限をもった組織で、大統領が名目上議長を務めているが、最高指導者の代理でもある書記が同組織の実質的なトップとなっている。
アリー・ハーメネイー師とともにパークプール革命防衛隊総司令官やムーサヴィー統合参謀本部長、シャムハーニー国防評議会書記も殺害されており、現在イラン軍を誰が指揮しているのかは詳らかではないが、ラーリージャーニー氏がイスラエル・米国との戦争で、イランの安保・軍事政策に大きな役割を果たしてきたのは間違いないと思われる。
同氏は、2009年から12年間国会議長を務め、その間ロウハーニー政権(2013-2021年)と友好関係を築き、同政権がG5+1(国連安保理常任理事国とドイツ)との間で結んだ核合意を支持するなど、現実主義者として知られてきた。同氏はまた、最高指導者顧問として、2021年に中国との間で結んだ「25年包括的協力計画」を主導し、また2025年6月のイスラエルとの「12日間戦争」後にロシアを電撃訪問して、同国のプーチン大統領と会談するなど、中国・ロシアとの関係も深いとされる。
ラーリージャーニー氏は、イランの安全保障・外交政策に強い影響力を持ち、革命防衛隊出身者(同氏は1980年代半ば、当時あった革命防衛隊省司法・国会担当次官を務めた)として軍にも一定の影響力を有していたと考えられ、ゴムのシーア派宗教界とのつながりも深い(彼の父親はジャヴァード・ハーシェミー・アーモリーという名の高位のイスラーム法学者)。その彼が殺害されたことで、イランの今後の戦争の進め方や出口戦略、戦後復興の方向性にも不透明さが増したと言えるだろう。
【参考】
「イラン:ハーメネイー最高指導者が死亡」『中東かわら版』No.128。
(主任研究員 斎藤 正道)
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