№138 イラク:イランの新指導者選出への諸派の反応
- NEW2026イラク湾岸・アラビア半島地域
- 公開日:2026/03/10
9日にイランでモジタバー・ハーメネイー師がイラン・イスラーム共和国の第3代最高指導者に選出された件に関し、イラクで活動する抵抗運動諸派からも反応が出た。
勇敢な男たち:「完全な忠誠」を表明した。なお、同派は3月5日ごろから、ヨルダン、クウェイト、サウジ、バハレーンに立地するものを含むアメリカの基地や拠点を攻撃したと主張する声明や動画を発表している。
ヒズブッラー部隊:専門家会議の決定とモジタバー・ハーメネイー師の資質を讃えた。
血の守護者隊:「強固な忠誠」を表明した。
洞窟の仲間たち:「忠誠」を表明した。
なお、イラクで「抵抗の枢軸」陣営として活動してきた諸派のうち、有力団体と考えられているヌジャバー運動、アサーイブ・アフル・ハックからは、本件、あるいはイランの指導者への忠誠の表明に関し、本稿執筆時点で公式の書式での態度表明はない。
評価
「抵抗の枢軸」陣営に属する諸派はいずれも個別の利害関係の範囲内で連合の活動に参加したり、他の団体に連帯したりするものである。このため、イラクで活動する民兵諸派についても、イランの政治体制に対する立場や、イラクの政界での立場に応じて活動内容に明らかな差異がある。諸派の連合体である「抵抗運動調整」や「イラクのイスラーム抵抗運動」の名義で立場表明がないのは、イランの新指導者選出にどのように反応するかを連合として表明せず、個々の団体に任せていることを示している。したがって、これらの諸派がアメリカ・イスラエルによるイラン攻撃に際して足並みをそろえてイランのために強力な武装闘争を貫徹することは考えにくい。これまでにイランの新指導者に忠誠を表明した諸派は、イラクだけでなく周辺諸国に対する無人機・ミサイル攻撃を実施したと主張しており、今般の紛争でイランの軍事行動に同調する程度が高いといえるだろう。一方、ヒズブッラー部隊、ヌジャバー運動、アサーイブ・アフル・ハックなどはイラクの議会や政界で一定の地位を獲得しており、態度表明はそうした利害関係を考慮したものとなるだろう。ちなみに、レバノンのヒズブッラー、イエメンのアンサール・アッラー(蔑称:フーシー派)も、イランの新指導者選出を祝福する声明・メッセージを発表しているが、忠誠の表明にあたる文言は用いなかった。
(特任研究員 髙岡 豊)
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