中東かわら版

№125 イラン:NHKテヘラン支局長が当局に拘束

 2026年2月24日付「ラジオ・ファルダー」(米国議会の出資によって運営されているメディア「ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティ」のペルシア語版)は、NHKのテヘラン支局長がテヘランで拘束され、同23日にテヘラン北西部エビーン刑務所の第7区に身柄を移されたと報じた。

 拘束理由については、明らかとなっていないが、尾崎官房副長官は25日の記者会見で、日本人1人が1月20日に現地当局に拘束されたことを確認した。

 なお、NHKテヘラン支局長が拘束されているとされるエビーン刑務所は、革命前の1972年に開所された刑務所で、当時から政治犯の収容等で悪名を馳せてきた。同刑務所の第7区は、外国人や政治犯の収容に用いられているとされる。同区は、2022年10月中旬に爆発を伴う大規模な火災が発生したことが知られている。また同刑務所は、2025年6月のイスラエルとの「12日間戦争」で同国による爆撃の対象となり、多数の民間人が死亡している。

評価 

 「国境なき記者団」は2026年2月18日付の報告の中で、イラン全国で抗議活動が始まった2025年12月28日以降、同国で拘束されたジャーナリストは少なくとも7名にのぼると伝えているが、これまでに外国人ジャーナリストの拘束は報じられていない。

 イランで拘束された外国人ジャーナリストとしては、2024年12月19日に拘束されたイタリア人ジャーナリストが挙げられる。彼女は3週間の拘束を経て、翌年1月9日に釈放されイタリアに帰国したが、この釈放は米国の要請によりイタリアで12月16日に拘束されたイラン人の釈放との交換で実現されたと考えられている。イタリアはこのイラン人を、1月12日に釈放している。イタリアで拘束されたイラン人は、2024年1月下旬にヨルダンで起き、米兵3名が死亡したドローン攻撃への関与が疑われていた。

 イランはこれまでに、外国で拘束されているイラン人との交換を目的に外国人を拘束してきた前例があるが、これまでにそのような目的で日本人が拘束されたことはないと思われる。その主な理由は、米国の要請でイラン人容疑者が日本で拘束されたことがないためであると考えられる。しかし、2018年9月にイランで拘束された英国・豪州二重国籍の女性が2020年11月に釈放されたときには、2012年にタイで爆弾爆破未遂事件を起こして逮捕・収監されたイラン人3名の釈放と引き換えで実現したという前例があり、拘束されたNHKテヘラン支局長の釈放に対しても何らかの交換条件が要求される可能性もゼロではない。

 日本をはじめとする諸外国は、米国との軍事的緊張の高まりから、自国民に対しイランからの退避を勧告しているが、こうした緊張の高まりによって外国人が当局に拘束される危険性が高まっているようだ。

(主任研究員 斎藤 正道)

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