№123 アフガニスタン:パキスタンがアフガニスタン国内7箇所を空爆
2026年2月21日、パキスタン軍はアフガニスタンのナンガルハール州及びパクティカー州内の7カ所を空爆した。パキスタン情報省が確認した。
ナンガルハール州当局によると、この空爆で11人の子供を含む、少なくとも18人が死亡した。死亡した18人はある家族の成員で、民兵組織とは全く関係がなかったという。国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)も声明で、少なくとも13人の民間人が死亡したと発表した。
ターリバーン政権の外務省は、駐アフガニスタン・パキスタン大使を召致し、抗議文書を手交した。同政権の国防省も、適切な時期にこの攻撃への応答を行うと警告している。
同日、パキスタンのハイバル・パフトゥンフワ州バンヌーで、パキスタン人兵士5人が死亡する自爆攻撃があり、パキスタン軍による今回の空爆はこの攻撃に対する報復と考えられる。
17日にも、同州バージャウル地域でパキスタン人兵士11人が死亡する襲撃事件が発生している。パキスタン外務報道官は会見で、ターリバーン政権はパキスタン・ターリバーン運動(PTT)によるテロ活動を抑制するための明確な措置を講じてこなかったと批判、自国の兵士、民間人及び国境の安全の確保のためならば、どこにいようとも、テロリストを殲滅させると述べていた。また、同国のアーシフ国防相も、TTPによる攻撃はターリバーン政権とインドがパキスタンに対して始めた代理戦争だとの見方を示し、ターリバーン政権から安全の保証が示されない限り、パキスタンはアフガニスタンに対する空爆を躊躇しないと述べていた。
なお、2021年にターリバーン政権が復活して以来、パキスタンによるアフガニスタンへの空爆は、これで6回目となる。
評価
TTPを代理勢力として使っているとパキスタンから非難されたインドの外務省は、「祝月ラマダーン」に行われたパキスタンによる空爆を「強く非難」したが、パキスタン国内からもラマダーン月への敬意を欠く今回の軍事行動に対して批判の声が挙がっている。
ラマダーン月にもかかわらずパキスタンがアフガニスタンへの攻撃に踏み切ったのは、(少なくとも表向きは)パキスタン国内で発生する「テロ事件」の首謀者たちがターリバーン政権に匿われる形でアフガニスタンに潜伏していると考えているからだが、パキスタンにおけるテロ事件は2026年に入っても一向に衰える気配が見られない。
実際、2026年2月6日に、イスラマバードのモスクで「イスラーム国(ISIL)」よる自爆攻撃が発生し、少なくとも36人が死亡する事件が起き、また1月31日にもパキスタン西部バルーチスターン州クウェッタで、バルーチスターン解放軍(BLA)による同時多発的な襲撃事件が起き、民間人18人を含む33人が死亡している。なお、「パキスタン紛争・安全保障研究所」の報告によると、2025年には3387人(うち「テロリスト」が2115人)がテロ事件及び治安部隊とテロリストとの衝突で命を落としたという。
国内の治安及び国民統合をめぐる問題を抱えるパキスタンにとって、女性の教育の権利を無視して国際的承認を依然として得ることのできないターリバーン政権は、スケープゴートとして格好の標的となっているように思われる。
【参考】
「アフガニスタン:ターリバーン政権とパキスタンの間で停戦が合意」『中東かわら版』No.80、2025年10月20日。
「アフガニスタン:ターリバーン軍とパキスタンが交戦」『中東かわら版』No.75、2025年10月15日。
(主任研究員 斎藤 正道)
◎本「かわら版」の許可なき複製、転送はご遠慮ください。引用の際は出典を明示して下さい。
◎各種情報、お問い合わせは中東調査会 HP をご覧下さい。URL:https://www.meij.or.jp/






.png)

