№121 エジプト:マドブーリー内閣、発足以降5度目の内閣改造
2026年2月11日、シーシー大統領は、2018年6月のマドブーリー内閣発足以来5度目となる内閣改造を行い、閣僚23名らの宣誓式を執り行った。マドブーリー首相は再任され、首相在任期間は8年に達した。これはエジプトの近代史において3番目の在任期間となる。閣僚リストは、以下のとおりである。
表 マドブーリー内閣の閣僚リスト(★太字が新閣僚)
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首相 |
ムスタファー・マドブーリー |
2018/6~ |
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★経済担当副首相 |
フサイン・イーサー |
前大統領府経済開発専門評議会総合調整官 |
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保健・人口相 |
ハーリド・アブドゥルガッファール |
2024/3~ |
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★産業相 |
ハーリド・ハーシム |
元ゼネラルモーターズ役員 |
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運輸相 |
カーミル・ワジール |
前産業開発担当副首相兼産業・運輸相 |
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★国防相兼軍需産業相 |
アシュラフ・サーリム・ザーヒル |
前エジプト軍事アカデミー総長 |
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★計画・経済開発相 |
アフマド・ロスタム |
前世界銀行金融部門上席調査官 |
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内相 |
マフムード・タウフィーク |
2018/6~ |
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地方開発相兼環境相 |
マナール・アワド |
2024/3~ |
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★通信・情報技術相 |
ラアファト・アブドゥルアジーズ・ヒンディー |
前通信・情報技術省インフラ担当副大臣 |
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★青年・スポーツ相 |
ジャウハル・ナビール |
元ハンドボール五輪選手 |
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★高等教育・科学研究相 |
アブドゥルアジーズ・クンスワ |
前アレキサンドリア大学学長 |
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★軍需産業担当国務相 |
サラーフ・ムハンマド・スレイマーン |
前軍需産業国家機構副会長 |
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水資源・灌漑相 |
ハーニー・ナブハーン・アーティフ・スワイラム |
2022/8~ |
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電力・再生可能エネルギー相 |
マフムード・カマール・イスマト |
2024/3~ |
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財務相 |
アフマド・クージュク |
2024/3~ |
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観光・遺跡相 |
シャリーフ・ファトヒー・アリー・アティーヤ |
2024/3~ |
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社会連帯相 |
マーヤー・ムハンマド・アブドゥルムンイム・ムルシー |
2024/3~ |
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供給・国内通商相 |
シャリーフ・ムハンマド・ファールーク |
2024/3~ |
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外務・国際協力・在外エジプト人相 |
バドル・アブドゥルアーティー |
2024/3~ |
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★法相 |
マフムード・シャリーフ |
前アシュラーフ組合最高評議会委員 |
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★議会・法務相 |
ハーニー・アーズィル |
元破毀院副長官 |
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ワクフ相 |
ウサーマ・アズハリー |
2024/3~ |
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民間航空相 |
サーミフ・アフマド・ザキー・ヒフニー |
2024/3~ |
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★住宅・公共施設・都市相 |
ラーンダ・ミンシャ-ウィー |
前首相第一補佐官兼住宅・公共施設・都市省副大臣 |
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農業・土地開拓相 |
アラーッディーン・ファールーク・ザキー |
2024/3~ |
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★投資・貿易相 |
ムハンマド・ファリード |
前金融規制庁長官 |
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★労働相 |
ハサン・ラッダード |
元労働省次官兼アレキサンドリア労働局長 |
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★文化相 |
ジーハーン・ザキ― |
元ローマ・エジプト芸術アカデミー所長、元ユネスコ・エジプト代表 |
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教育・技術教育相 |
ムハンマド・アフマド・アブドゥルラティーフ |
2024/3~ |
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石油・鉱物資源相 |
カリーム・イブラーヒーム・アリー・バダウィー |
2024/3~ |
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★国家情報相 |
ディヤー・ラシュワーン |
前国家情報局長 |
(出所)アフラーム紙など現地紙をもとに筆者作成。
評価
1月8日、2020年の選挙によって選出された下院議員の任期(5年)が終了し、2025年末から行われた選挙によって選ばれた下院議員による議会が始まった。これに合わせ、シーシー大統領が新首相を指名し、新しい内閣を発足させるのではないかとの憶測がエジプト国内では流れていた。
結果として、マドブーリー首相が再任され、ムスタファー・ファフミー元首相(在任期間:1891~1893、1895-1908)、アーティフ・シドキー元首相(在任期間:1986~1996)に次ぐ歴代3位の在任期間となり、近年のエジプト政治では極めて稀な長期政権となっている。
続投の背景には、当然、シーシー大統領からの厚い信頼があると考えられる。マドブーリー首相は、2018年に首相に就任して以来、貧困家庭への経済的支援や地方におけるインフラ整備を積極的に行ってきた。また、新都市、工業地帯の建設など、数多くの開発・経済プロジェクトを監督してきた。特に、マドブーリー政権下で、スエズ運河経済特区への中国やトルコの投資を誘致することに成功している。こうした実績が高く評価され、今般の再任は政権の安定性を優先した形といえる。
もう一つの要因としては、IMF主導の経済改革プログラムへの対応である。エジプトは2022年12月に締結した30億ドルの融資合意を、2024年3月に80億ドルへと増額した。このプログラムは2026年10月に終了を控えており、残り1年を切った重要局面に際して、政策の継続性を重視したと見られる。世界銀行出身のアフマド・ロスタム氏を計画・経済開発相に配した点からも、国際機関との連携強化を図る意図が鮮明である。
今般の改革では、2019年からマドブーリー政権の経済政策の顔となってきたラーニーヤ・マシャート計画・経済開発・国際協力相が退任した。2018年の発足時から留任しているのはマフムード・タウフィーク内相のみとなり、首脳陣の安定を図りつつも閣僚の刷新は着実に進んでいる。IMF主導の経済改革プログラムを念頭においた今般の続投であるのであれば、2027年あるいは2028年に改めて首相交代を含む本格的な新内閣発足の可能性があるだろう。
(研究員 平 寛多朗)
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