№115 カタル:ガス田拡張計画の第3段階NFWが始動
- 2026湾岸・アラビア半島地域カタル
- 公開日:2026/01/22
2026年1月21日、千代田化工建設はカタルエナジー社から、カタル半島北部ラアス・ラファーンにおける液化天然ガス(LNG)生産施設の新設に関する基本設計調査(FEED)契約を受注したと発表した。本プロジェクトは、「ノースフィールド(別名ノースドーム)・ガス田」拡張計画の第3段階にあたる「ノースフィールド・ウェスト(NFW)」事業である。カタルエナジー社はすでに、第1段階の「ノースフィールド・イースト(NFE)」事業と第2段階の「ノースフィールド・サウス(NFS)」事業に着手しており、これら3案件を通じて、LNG年産能力を現在の7700万トンから1億4200万トンへと引き上げる計画である。
評価
NFW事業の計画は、カタルエナジー社が2024年2月に公表していたものの、先行するNFE事業やNFS事業によって、すでに大規模なLNG生産能力の拡大が進められていたことから、その実施の可否については不透明な状況が続いていた。しかし今般、同社がNFW事業に係るFEED契約を発注したことにより、今後の調査結果を踏まえて最終投資決定(FID)に踏み切る可能性が高まったと考えられる。カタルは2017年に資源保全を目的としたガス田開発の中断措置を12年ぶりに解除してLNG増産計画を打ち出すとともに、2019年には石油輸出国機構(OPEC)を脱退するなど、天然ガス収入を軸とした国家発展計画に取り組んでいる。
今回、日本企業がNFW事業のFEED契約を受注したことは、日本・カタル関係の強化につながる動きであると言える。ガス田拡張計画では欧米諸国や中国の企業による権益取得が顕著であり、またLNG運搬船の建造契約は韓国・中国勢が独占している。一方、LNG生産施設の新設工事やその準備調査においては、千代田化工建設が重要な役割を果たしている。同社はカタル国内にとどまらず、カタルエナジー社と米エクソンモービルが出資する米国テキサス州のゴールデンパスLNG事業でも生産施設の建設を手がけている。
LNG生産施設の建設には高度な技術力と豊富な実績が求められるため、世界でも受注を担える企業は限られている。このため、この分野は日本企業にとって、技術力を活かして国際的な存在感を発揮しうる重要な領域と位置づけられるだろう。
【参考】
「カタルのLNG増産計画と中東域内情勢の影響」『中東分析レポート』R24-02。※会員限定。
「カタル:ガス田拡張計画第1段階でのLNG生産が2026年半ばに開始へ」『中東かわら版』2025年度No.16。
(主任研究員 高橋 雅英)
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