中東かわら版

№99 イエメン:アデン政府が国際安定化部隊への参加要請を受ける

 2025年11月19日付『クドゥス・アラビー』紙(在外のパレスチナ資本の汎アラブ紙)は、アデン政府の外交・軍・大統領指導評議会などの複数の消息筋が、同政府はアメリカ政府からガザ地区に派遣予定の国際安定化部隊への参加を要請されたと述べたと報じた。軍事筋は、アメリカと本件について協議したが正式な参加要請は受けていないと述べた。一方、外交筋はイエメンの参加は極めて象徴的なものとなり、兵站のための作戦室に将校・兵員を派遣する以上のことにはならないと述べるとともに、要請を断ることはできないと述べた。

 

評価

 17日に国連安全保障理事会で、国際安定化部隊の編成を含むアメリカ提案の和平計画への支持が決議された。しかし、計画では部隊に人員を派遣することが想定されていたアラブ・イスラーム諸国が、人員の派遣に消極的であることが計画の進展の障害となっている。各国が人員派遣をためらう理由としてパレスチナの武装勢力との衝突が挙げられているが、「停戦」実現後もイスラエルによる大規模な攻撃がたびたび起きていることも大きな要因だろう。また、アデン政府も、首都サナアを含むイエメン領の広域を占拠して自前の政府を運営するアンサール・アッラー(蔑称:フーシー派など)との紛争の解決のめどが立たないうえ、南イエメンの分離・独立を志向する勢力を内包するなど安定した地位を享受しているとはいいがたい。国際的にもイエメンの国内的にも、アデン政府の立場は非常に弱いため、アメリカのような大国や、アデン政府を後援する諸国の意向に反することはできないとみられる。しかし、相当程度強力な部隊・人員によって効率的に運営されなければ、ガザ地区の和平改革の基幹ともいえる国際安定化部隊が有名無実化する恐れすら浮上するだろう。

(特任研究員 髙岡 豊)

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