№98 UAE:韓国の李大統領によるUAE初訪問
- 2025湾岸・アラビア半島地域アラブ首長国連邦
- 公開日:2025/11/20
2025年11月17~18日、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は、今年6月の大統領就任後初めてUAE・アブダビ首長国を公式訪問し、ムハンマド大統領と首脳会談を行った。同会談では、両国が防衛装備や原子力技術、人工知能(AI)、航空宇宙、医療など、主要な戦略分野での協力を更に拡大することで合意した。また、戦略的パートナーシップ強化の一環として、「韓国とUAEの次世紀に向けた新たな飛躍と共同の旅路」と題する共同宣言が採択された。
その他、両国間では7件の覚書(MOU)が締結され、AI・半導体分野でアブダビにおける大規模AIデータセンターの共同設立・運営、原子力分野で第三国向け原発輸出での協力、防衛装備分野で共同開発・技術協力・現地生産を通じた連携強化などが取り決められた。
評価
UAE・韓国関係は2010年代以降、アブダビでの韓国製原発の建設、韓国軍部隊のアブダビ駐留、UAE向けLNG(液化天然ガス)運搬船の建造など、エネルギーや防衛分野を軸に着実に深化してきた。この期間、韓国では保守派・進歩派の両政党から大統領が選出されてきたが、首脳外交を通じた両国の友好関係は一貫して維持されてきた。韓国にとって、UAEは主要な原油調達先であると同時に、経済活性化に向けた重要な投資パートナー国でもある。
現在、韓国はUAEとの良好な関係を背景に、UAE向けの武器輸出拡大を積極的に進めている。2022年には、韓国製の弾道ミサイル迎撃システム「天弓2」の輸出に成功したことで、双方の防衛協力が一段と深まった。今後は、韓国製戦闘機「KF-21」の主要な輸出先候補としてUAEを位置づけているとみられる。今年8月には、UAEの国防次官が韓国のサチョン空軍基地を訪問し、KF-21試作機を視察したほか、韓国製軽戦闘機「FA-50」に搭乗して飛行試験を体験した。
一方、UAEも防衛装備分野での韓国の役割に大きな期待を寄せている。UAEは米国から50機のF-35戦闘機の導入を進めていたが、UAE国内での中国企業の通信機器の使用などが障害となり、2021年以降、交渉は中断したままである。UAEは同年、フランスからラファール戦闘機80機の購入を決定したものの、依然として追加調達を検討している。また、UAEは「アブダビ経済ビジョン2030」に基づき防衛産業の国産化を推進していることから、単なる武器輸入にとどまらず、開発技術や製造ノウハウの獲得を重視している。この点を踏まえると、韓国が販路先の確保と引き換えに技術移転へ柔軟に応じることができれば、UAEが韓国製戦闘機を採用する可能性は高いと考えられる。
【参考】
「UAE:ムハンマド大統領の韓国・中国訪問、UAE・韓国間の自由貿易協定の締結」『中東かわら版』2024年度No.30。
(主任研究員 高橋 雅英)
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