№65 イラン:対イラン国連安保理制裁が一斉復活
- 2025湾岸・アラビア半島地域イラン
- 公開日:2025/09/30
2025年9月28日、イランに対する国連安保理制裁が一斉に復活した。これにより、9月中旬にイランとIAEAとの間で結ばれた査察実施手順に関する合意の履行も停止されることが予想される。
ペゼシュキヤーン大統領は核不拡散条約(NPT)から脱退するつもりはないことを明言しているが、その一方でニークザード国会第一副議長は、22日に71名の国会議員が国家安全保障最高評議会(SNSC)に宛てた、核兵器の非保有に基づく防衛ドクトリンの見直しを求める書簡について、28日に国会内で検討を行う予定であると述べた。また29日には、国会安保外交委員会のレザーイー報道官がNPTにとどまる理由はもはやないと述べたうえで、同条約からの脱退を政府に義務付ける内容の法案について、(国会への上程が予定されているわけではないものの)同委員会で「一つの結論に達した」ことを明らかにした。
評価
対イラン国連安保理制裁の復活に対し、イラン外務省は声明で、一度終了したはずの国連安保理決議を復活させる行為に正当性はなく、道義的にも否定されるべきものだとし、国連安保理決議第2231号に反した措置に従う義務は国連加盟国にはないと反発した。ガーリーバーフ国会議長も国会公開会議の場で、ロシアと中国という国連安保理常任理事国の2カ国が国連安保理制裁の復活に反対していることを考えれば、これを遵守する義務はどの国にもないとの見方を示している。
国連安保理は2006年から2010年にかけて、6本の対イラン制裁決議を採択しているが、それらの中で、世界の国々は核・ミサイルの開発に関連する物資や技術、サービスをイランに提供することを禁じられ、装甲戦闘車両やミサイル、ミサイル・システム等の兵器の輸出も禁じられている。他方、イランとの貿易に対する金融サポートに関しては、各国に「警戒」を「要請」しており、イラン人・企業への金融サービスの提供やイラン系銀行の活動に対する規制についても、各国への「要請」にとどまるなど、制裁の実施は各国の裁量に委ねられている面も多い。
そのためか、モヘッビー・ナジムアーバーディー国会議員が中国やロシア、インド、ラテンアメリカ諸国との大規模な協定の始動による状況の打開を唱えているように、イラン側からは国連安保理制裁の復活に対して楽観的な見解も出ている。
イランは今後、BRICSなどの非西側の国際機関や、「密貿易」の相手国となる近隣諸国との関係を重視することで、制裁の「無効化」に全力を挙げることになるだろうが、その成否はロシアや中国、インドといった国々が国連安保理決議の「要請」に対して、果たしてイランの期待するような対応を取るのかどうかにかかっている。イランがもしNPTから脱退するようなことになれば、ロシアや中国といった国々もイランに対して否定的な反応を示す可能性が高くなることも考えられる。
なお、国連安保理制裁の復活を受け、9月25日に1ドル約108万3000リヤール(1ユーロ約126万9000リヤール)だったイラン通貨の価値は、29日には約112万リヤール(1ユーロ約131万5000リヤール)に急落している。国連安保理で対イラン国連安保理制裁の適用停止の継続決議案が否決された9月19日の前日には、1ドルは約98万8000リヤール(1ユーロ116万5000リヤール)だった。
(主任研究員 斎藤 正道)
◎本「かわら版」の許可なき複製、転送はご遠慮ください。引用の際は出典を明示して下さい。
◎各種情報、お問い合わせは中東調査会 HP をご覧下さい。URL:https://www.meij.or.jp/








.png)
.jpg)