№44 中東:OPECプラスが9月に8カ国自主減産を解除
2025年8月3日、OPEC(石油輸出国機構)加盟国とロシアなどの非加盟産油国で構成される「OPECプラス」はオンライン会合を開き、自主減産を実施中の8カ国が、9月に合計54万7000バーレル/日(bpd)の増産を行うことで合意した。2023年11月に開始された8カ国自主減産(計220万bpd)は今年4月から段階的に縮小が始まり、増産枠が4月の13万8000bpdから、5月・6月・7月にそれぞれ41万1000bpd、8月には54万8000bpdと順次拡大された。そして9月の増産をもって、当初予定(2026年9月)より1年早く完全解除されることとなる。今般、自主減産を解除した8カ国は、アルジェリア、イラク、オマーン、クウェイト、カザフスタン、サウジアラビア、ロシア、UAEである。
評価
OPECプラスの8カ国が当初計画を大幅に前倒しして増産を進める背景には、油価維持よりも石油市場でのシェア確保を優先していることがあると見られる。米国のトランプ政権は石油・天然ガスの増産を掲げつつ、諸外国との関税交渉で米国産エネルギーの調達を迫っている点から、この先、OPECプラスと米国との間で石油市場のシェア争いが一層激化する可能性がある。こうした中、OPECプラス側は、増産による販路拡大を通じて石油収入の維持を図りながら、油価の下落を一定程度容認することで、採掘コストが相対的に高い米国の石油産業が徐々に後退するシナリオも描いていると考えられる。
今後の石油市場で注目されるのは、米国がロシア産原油を購入するインドに対して二次関税を課すかどうかである。米国は、ウクライナへの攻撃を継続するロシアからインドが大量の原油を輸入していることに強い不満を示しており、相互関税25%に追加25%を上乗せした、合計50%の関税を課す可能性があると警告している。インド企業はこれまで、欧米諸国による制裁で国際原油価格より割安となったロシア産原油を調達し、国内需要に供給したり、または精製後にインド産石油製品として各国へ輸出したりしてきた。その結果、インドの原油輸入におけるロシア産の割合はウクライナ戦争開始前年(2021年)の2%から、2024年には36%に増加した(出所:インド商工省)。仮に二次関税を懸念してインド企業がロシア産原油を買い控える状況となれば、中東産油国にとっては、インド向けの市場シェアを回復・拡大させることで、石油収入の増加が期待できるだろう。
【参考】
「中東:OPECプラスが自主減産を縮小、5月から増産へ」『中東かわら版』No.3。
(主任研究員 高橋 雅英)
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