中東かわら版

№43 ヨルダン:ハッサーン首相、初の内閣改造

 2024年9月に誕生したジャアファル・ハッサーン首相は、初の内閣改造を行った。ハッサーン改造内閣は8月6日に勅令によって承認された。閣僚リストは、以下のとおりである。

 表 ハッサーン内閣の閣僚リスト(★太字が新閣僚)

首相兼国防相

ジャアファル・ハッサーン

2024/9~

副首相兼外務・移民相

アイマン・サファディー

2017/1~外相、2020/10~副首相を兼務

水・灌漑相

ラーイド・アブー・サウード

2023/9~

公共事業・住宅相

アフマド・マーヒル・アブー・サマン

2022/10~

地方行政相

ワリード・マスリー

2024/9~

政府広報担当相

ムハンマド・ムーマニー

2024/9~

法相

バッサーム・タルフーニー

2024/9~

★観光・遺跡相

イマード・ヒジャージーン

前観光・遺跡省次官

★農相

サーイブ・フライサート

ヨルダン科学技術大学農学部教授
元ヨルダン科学技術大学学長

産業・貿易・供給相

ヤアルブ・クダー

2024/9~

エネルギー・鉱物資源相

サーリフ・ハラーブシャ

2021/10~

経済問題担当国務相

ムハンナド・シャハーダ

2024/9~

国務相

アフマド・ウワィディー

2024/9~

教育相兼高等教育・科学研究相

アズミー・マハーフザ

2022/10~

★投資相

ターリク・アブー・ガザーラ

元ハーシム王宮府経済・行政改革進捗管理局長

ワクフ・イスラーム聖地担当相

ムハンマド・ハラーイラ

2019/11~

内相

マージン・ファラーヤ

2021/3~

★保健相

イブラーヒーム・ブドゥール

イスラーム病院脳神経・脊髄科長
元下院議員

社会開発相

ワファー・バニー・ムスタファー

2022/10~

★環境相

アイマン・スライマーン

前アカバ特別経済区局環境問題・保護地域委員
元アカバ特別経済区局戦略実行部長

外務担当国務相

ナーンシー・ナムルーカ

2024/9~

計画・国際協力相

ザイナ・トゥーカーン

2022/10~

★運輸相

ニダール・カターミーン

元労働相(2012.10-2016.5)
元運輸相(2013.3-2013.8)

政務・議会担当相

アブドゥルマナアム・ウーダート

2024/9~

★首相府担当国務相

アブドッラティーフ・ナジュダーウィー

前首相府次官

法律問題担当国務相

ファイヤード・クダー

2024/9~

労働相

ハーリド・バッカール

2024/9~

財務相

アブドゥルハキーム・シブリー

2024/9~

文化相

ムスタファー・ラワーシダ

2024/9~

★公的部門発展担当国務相

バドリヤ・バルビーシー 

現上院議員、元公的部門発展省次官

★青年相

ラーイド・アドワーン

元内務省次官

デジタル経済・起業担当相

サーミー・スマイラート

2024/9~

(出所)内閣HPなど各種情報をもとに筆者作成。

評価

 今般の内閣改造は、支持率低下に伴う政権浮揚を目的としたものではない。5日に報じられたヨルダン大学の戦略研究センターの調査では、ヨルダン人の72%が「国は良い方向に進んでいる」と回答している。また、先月17日には独立選挙委員会が、選挙プロセスに対する国民の満足度が35%から60%に上昇し、選挙は民意を反映していないと考える国民の数が47%から22%に減少したと発表していた。総じてハッサーン首相への不満は低いと考えられる。

 今般の改造では主要ポストではなく、それ以外のポストの変更が目立つ。これはヨルダンが進める「経済近代化ヴィジョン」の推進と関係していると考えられる。同ヴィジョンはヨルダンが進める経済成長を目指した指針である。経済成長を目指す包括的な国家戦略であり、2023年から2025年が第1フェーズにあたる。先月には、その進捗状況を評価する一連のワークショップが開催され、第2フェーズ(2026~2029年)に向けた提言もまとめられた。今般の改造では、こうした提言も考慮されたと思われる。また元次官等の入閣が多いのは、政策を実務面から推進する狙いがあると考えられる。

 改造人事からは、ハッサーン内閣の戦略も見えてくる。ヨルダンが直面する大きな課題の一つは、特に若年層向けの雇用創出である。この問題を解決するため、政府は観光分野と海外直接投資の拡大に注力しており、今回の改造ではこれらの分野に関わる閣僚が交代している。加えて、アカバ湾地域のリゾート化や工業化にも力を入れている。アカバ地区はアカバ特別経済区局の管轄下にあるが、全国的な基準や法律の改正といった案件では環境省との調整が必要となる。今回、環境相にアカバ特別経済区局のアイマン・スライマーンを起用したのは、こうした連携を円滑に進める意図があったと考えられる。

 総じて、今回の改造はハッサーン内閣発足から10カ月を経て、同首相が「実務内閣」としての性格を鮮明にしたものといえる。

(研究員 平 寛多朗)

◎本「かわら版」の許可なき複製、転送はご遠慮ください。引用の際は出典を明示して下さい。
◎各種情報、お問い合わせは中東調査会 HP をご覧下さい。URL:https://www.meij.or.jp/

| |


PAGE
TOP