中東かわら版

№98 モロッコ:内閣改造(第2次アハンヌーシュ内閣)

 2024年10月23日、ムハンマド6世国王は、閣僚8人を交代させる内閣改造を行った。2021年9月より首相職を務めるアハンヌーシュ首相は再任され、閣僚の大半は、連立与党の独立国民連合(RNI)・真正近代党(PAM)・イスティクラール党(PI)の3党から任命された。第2次アハンヌーシュ内閣の閣僚リストは、以下のとおりである。

 

表 第2次アハンヌーシュ内閣の閣僚リスト

首相

アジーズ・アハンヌーシュ

2021/9~、RNI党首

内相

アブドゥルワーフィー・ラフティート

2017/4~

外務・アフリカ協力・在外モロッコ人相

ナーシル・ブリタ

2017/4~

法相

アブドゥルラティーフ・ワフビー

2021/10~、PAM前党首

ワクフ・イスラーム問題相

アフマド・タウフィーク

2002/9~

内閣官房長官

ムハンマド・ハジュウィー

2017/4~

経済・財務相

ナーディヤ・ファッターフ・アラウィー

2021/10~、RNI執行部員

設備・水利相

ニザール・バルカ

2021/10~、PI党首

国民教育・幼児教育・スポーツ相

ムハンマド・サアド・バッラーダ

RNI政治局員

保健・社会保護相

アミーン・タフラーウィー

前農業相首席補佐官

国土整備・都市計画・住宅・都市政策相

ファーティマ・ザフラー・マンスーリー

2021/10~、PAM共同党首

農業・海洋漁業・地方開発・水・森林相

アフマド・ブワーリー

前同省灌漑・農業開発部長

経済統合・中小企業・雇用・技能相

ユーネス・サックーリー

2021/10~、PAM議員

産業・貿易相

リヤード・マズール

2021/10~、PI党員

観光・手工業・社会経済・連帯相

ファーティマ・ザフラー・アムール

2021/10~、RNI党員

高等教育・科学研究・イノベーション相

アズッディーン・ミーダーウィー

前大学長会議議長

エネルギー移行・持続的発展相

ライラ・ベンアリー

2021/10~、PAM政治局員

輸送・物流相

アブドゥルサマド・カトゥーフ

元手工業相、PI議員

青年・文化・通信相

ムハンマド・メフディー・ベンサイード

2021/10~、PAM共同党首

連帯・社会統合・家族相

ナイーヤ・ベンヤフヤー

元PI議員(2011-2016)

首相付き国防担当相

アブドゥルラティーフ・ルーディイー

2010/12~

首相付き投資・統合・公共政策評価相

カリーム・ジーダーン

元ドイツ企業「BMW」機械エンジニア

経済・財務相予算担当相

ファウジー・リクジャア

2021/10~

首相付き議会関係担当相兼内閣報道官

ムスタファー・バーイタース

2021/10~、RNI党員

首相付きデジタル移行・行政改革担当相

アマル・ファッラーフ・サグルーシュニー

前ムハンマド6世工科大学・モロッコ国際人工知能センター長

(出所)国営通信「MAP」など各種情報をもとに筆者作成。

  

評価

 今般の内閣改造は、アハンヌーシュ内閣の発足から3年が経過したタイミングで行われた。大臣が交代した国民教育・幼児教育・スポーツ省や保健・社会保護省は現在、待遇改善を求める教員や医療従事者によるデモやストライキに直面しているため、新閣僚には迅速な解決策が求められる。

 入閣者の多くが連立与党から選ばれた一方、主要閣僚ポストは、王宮府と連携する実務者が握っている。特に、西サハラ問題や対イスラエル関係がモロッコの政治・安全保障分野に大きな影響を及ぼしている点を踏まえると、ブリタ外相やルーディイー首相付き国防担当相は、替えがきかない人材である。外資誘致による経済発展を目指すモロッコにとって、自国を取り巻く地域情勢の安定化が対応すべき課題の1つであるだろう。

 

【参考】

「モロッコ:二国間関係の強化に向け、マクロン仏大統領の訪問」『中東トピックス』T24-07。※会員限定。

「モロッコ:イスラエル製の偵察衛星の購入に関する報道」『中東トピックス』T24-04。※会員限定。

「モロッコ:西サハラ地域の町への砲撃」『中東トピックス』T23-07。※会員限定。

(主任研究員 高橋 雅英)

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