中東かわら版

№160 クウェイト:ムハンマド・サバーフ新首相の下での初の組閣

 2024年1月17日、ムハンマド・サバーフ新首相の下で初となる組閣が行われ、陣容が以下の通り発表された。

 

役職

氏名

1

首相

ムハンマド・サバーフ・サーリム・サバーフ(王族、元駐米大使、外相、副首相、石油相代行)

2

副首相

国防相、内相代行

ファハド・ユースフ・サウード・サバーフ(王族、前首相府護衛官)

3

副首相

石油相

イマード・ムハンマド・アブドゥルアジーズ・アティーキー(前クウェイト大学研究者)

4

情報・文化相

アブドゥルラフマーン・バダーフ・ムタイリー(元情報相、元青年担当相)

5

保健相

アフマド・アブドゥルワッハーブ・アウディー(前保健相)

6

社会・家族・子供事項相

内閣担当国務相代行

フィラース・サウード・マーリク・サバーフ(王族、元議会担当国務次官補)

7

財務相

経済・投資事項担当国務相

アンワル・アリー・ムダフ(Ahli United Bank会長)

8

電気・水・再生可能エネルギー相

住宅事項担当国務相

サーリム・ファラーフ・ムバーラク・ハジュラフ

9

議会担当国務相

青年担当国務相

通信担当国務相

ダーウード・スライマーン・マアラフィー

10

教育相

高等教育・科学研究相

アーディル・ムハンマド・アブドッラー・アドワーニー(元クウェイト大学行政学部教授)

11

商工相

アブドッラー・ハマド・アブドッラー・ジャウアーン(クウェイト国立基金中小企業発展担当)

12

外相

アブドッラー・アリー・アブドッラー・ヤフヤー(元駐アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ大使)

13

司法相

ワクフ・イスラーム事項相

ファイサル・サイード・ナーフィル・ガリーブ(クウェイト航空副代表)

14

公共事業相

地方自治担当国務相

ヌーラ・ムハンマド・ハーリド・マシュアーン(元クウェイト大学土木工学・石油学部准教授)※女性

クウェイト国営通信の情報を元に筆者作成

 

評価

 クウェイトでは12月16日にナウワーフ前首長の崩御が発表され(享年86歳)、同日にミシュアル皇太子の首長即位が決定された。ミシュアル首長の後任に当たる新皇太子はまだ指名されていないが、1月4日にミシュアル首長はムハンマド・サバーフ元外相(2003~2011年、現在68歳)を新首相に指名し、併せて新政府の形成を要求した。こうした経緯で今般の組閣に至ったわけである。

 新内閣の顔ぶれについては、アウディー保健相が留任した以外は、首相を含めた全員が新任であり、王族と閣僚経験者の入閣の数も前内閣と比べて減少した。ミシュアル首長の即位は順当と言える人事であったため、新体制の発足で今後クウェイト内外政の方向性が大きく変わる可能性は低いと思われるが、従来からの政府・議会間の対立も意識しつつ、刷新をアピールする意図が組閣には反映されたのだと想像される。

 

【参考】

「クウェイト:ナウワーフ首長の崩御とその後」『中東トピックス』2023年12月号。※会員限定

(研究主幹 高尾 賢一郎)

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