中東かわら版

№45 クウェイト:国民議会選挙を経た第5次アフマド・ナウワーフ内閣の発足

 2023年6月18日、首長令を通して以下の通り新内閣の陣容が発表された(●新任)。今年4月に発足した第4次政権は第3次(2022年10月~2023年4月)以上の短期で終わりを迎えたことになる。翌19日には就任の宣誓が行われ、第5次となるアフマド・ナウワーフ政権が発足した。

 

役職

氏名

1

首相

アフマド・ナウワーフ・アフマド・サバーフ(王族)

2

第一副首相

内相

タラール・ハーリド・アフマド・サバーフ(王族、前国防相代行)

3

副首相●

国防相●

アフマド・ファハド・アフマド・サバーフ(王族、元情報相、元エネルギー相、元副首相、元住宅担当国務相、元開発担当国務相、元国家安全保障局長他)

4

副首相●

内閣担当国務相●

議会担当国務相●

イーサー・アフマド・ムハンマド・カンダリー(元交通相、元都市村落相、元社会事項相、ワクフ・イスラーム事項相他)

5

副首相●

石油相●

経済・投資担当国務相●

サアド・ハマド・ナーシル・バッラーク(元ザイン・グループCEO兼理事長他)

6

地方自治担当国務相

通信担当国務相

ファハド・アリー・ザーイド・シャアラ

7

情報相

ワクフ・イスラーム事項相●

アブドゥルラフマーン・バダーフ・アブドゥルラフマーン・ムタイリー(前青年担当国務相他)

8

保健相

アフマド・アブドゥルワッハーブ・アフマド・アウディー

9

公共事業相

アマーニー・スレイマーン・アブドゥルワッハーブ・ブーカマーズ(女性)

10

教育相

高等教育・科学研究相

ハマド・アブドゥルワッハーブ・ハマド・アドワーニー

11

外相

サーリム・アブドッラー・ジャービル・サバーフ(王族)

12

商工相

青年担当国務相●

ムハンマド・ウスマーン・ムハンマド・アイバーン

13

財務相

マナーフ・アブドゥルアジーズ・アスハク・ハージリー(前経済・投資担当国務相)

14

電気・水・再生可能エネルギー相●

ジャーシム・ムハンマド・アブドッラー・ウスタード(元大学講師他)

15

司法相●

住宅担当国務相●

ファーリフ・アブドッラー・イード・ファーリフ・ルクバ(元投資会社理事他)

16

社会事項相

女性・子供担当国務相

ファーリス・サウード・マーリク・サバーフ(王族、元議会担当国務次官他)

クウェイト国営通信の情報を元に筆者作成

 

評価

 新内閣の発足に先立ち、クウェイトでは市民の信用貸付の法案をめぐって議会が紛糾し、これを受けて今月6日に国民議会選挙が実施された。閣僚は首長任命であるため、選挙結果が直接組閣に影響を及ぼすわけではないものの、民選議員からなる議会で反政府派が多数になると、政府と議会の間にいわゆる「ねじれ」が生じる。同選挙では定数50の内29を、女性1名含む反政府派議員が獲得しており(議会選挙は過去3年で3度目)、今後はまさにそのねじれが深刻化すると思われ、新内閣はこれまで同様に短命となる可能性がある。

(研究主幹 高尾 賢一郎)

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