中東かわら版

№93 クウェイト:第18期議会選挙の実施

 2022年9月29 日、300名超の立候補者(内女性22名)が50議席(任期4年)を争う、第18期議会選挙が実施された。翌30日の結果報道によれば、50議席の内28議席を反対勢力と位置づけられる人々が獲得し、閣僚経験者3名を含む20名の現職が落選したことが大きく報じられた。

 この他、今般の選挙では2020年以来となる女性議員(2名)が誕生したことが注目を浴びた。1人はジナーン・ムフシン・ハサン・ラマダーン氏(1973年生)で、2018~2020年に公共事業相兼住宅担当国務相を経験しており、返り咲きを果たしたといえる。もう1人はアーリヤ・ハーリド・サバーフ氏(1974年生)で、ムハンマド・ハーリド・サバーフ(元副首相、元内相、元国防相)の娘。なお投票者は約795,920人、内51.2%が女性といわれる。

 

評価

 任期4年にもかかわらず2020年末以来(過去10年でも6回目)の選挙であることからうかがえるように、特にこの数年は、議会における政府(王族側勢力)と、政府の主導権に反対する勢力との対立が目立っていた。これもあって、今般の選挙に関してはあらかじめミシュアル皇太子が「市民による投票に介入することはせず、また議長選出等にも関与しない」と、選挙・議会への不干渉の姿勢を強調した。反対勢力と位置づけられる人々の議席獲得にはこうした事情もあるだろう。

 民選議員からなる議会の存在を通して、「民主的な国家」であることを矜持とするクウェイトだが、その議会に混乱・閉塞状況が続いているようでは本末転倒ともいえる。今般の選挙結果が今後の議会運営の安定に資することは、国内各勢力の期待するところであろう。

(研究員 高尾 賢一郎)

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