中東かわら版

№85 アルジェリア:内閣改造(第2次ベンアブドゥルラフマーン内閣)

 2022年9月8日、タブーン大統領は閣僚8人の任命を含む内閣改造を発表した。新閣僚は、以下の通りである。

 

表 新閣僚リスト

内務・地方自治体・国土計画相

イブラーヒーム・メラード

元ティジウズー県知事、元大統領顧問(インフラ未開発地域担当)

高等教育・科学研究相

カマール・ビダーリー

元ムシーラ大学長

公共事業・水利・基礎インフラ相

ラフダル・ラフルーフ

元建設会社「Cosider」会長

運輸相

カマール・ベルジュード

前内務・地方自治体・国土計画相

保健相

アブドゥルハック・サーイヒー

元保健省事務次官、元国立行政学院(ENA)事務局長

環境・再生可能エネルギー相【統合】

サーミヤ・ムワールフィー

前環境相

製薬産業相

アリー・アウン

元製薬会社「Saidal」会長

知識経済・スタートアップ・​​零細企業相【格上げ】

ヤーシーン・マフディー・ワリード

前首相付き知識経済・スタートアップ担当相

(出所)国営通信「APS」をもとに筆者作成。

 

評価

 今次内閣改造では、外相やエネルギー相などの主要閣僚の大半は留任したため、大きな変化は見られなかった。その一方、新閣僚の注目点は、タブーン大統領の側近のメラードが内務・地方自治体・国土計画相に起用されたことだ。メラードはティジウズー県知事を務めた経験から、同県を含むカビール地方を拠点に活動する「カビール自治運動(MAK)」(政府のテロ組織指定)の動向に精通していると見られる。また、2021年5月より反政府寄りの市民との対話を促進する調整役を大統領府で担ってきた経緯から、反政府デモの動きにも目を配らせてきた。この点より、タブーン大統領はメラード新内相に対し、MAKと反政府デモの主導者を監視し、締め付けを通じて更に弱体化させることを期待していると考えられる。

(研究員 高橋 雅英)

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