№74 カタル:内閣改造
- 2021湾岸・アラビア半島地域カタル
- 公開日:2021/10/27
2021年10月19日、タミーム首長は首長令を通して内閣の改造を発表した。新たに変更した顔ぶれは以下表の通り。
ポスト |
人物 |
財務相 |
アリー・ビン・アフマド・カワーリー |
交通相(旧交通・通信省) |
ジャーシム・ビン・サイフ・スライティー(前交通・通信相) |
スポーツ・青年相(旧文化・スポーツ省) |
サラーフ・ビン・ガーニム・アリー(前文化・スポーツ相) |
都市村落相(旧都市村落・労働省) |
アブドッラー・ビン・アブドルアジーズ・スバイイー(前都市村落・労働相) |
宗教寄進財・イスラーム事項相 |
ガーニム・ビン・シャーヒーン・ガーニム |
商業・工業相 |
ムハンマド・ビン・ハマド・アール・サーニー(首長家) |
教育・高等教育相 |
ブサイナ・ビント・アリー・ヌアイミー |
文化相(旧文化・スポーツ省) |
アブドゥルラフマーン・ビン・ハマド・アール・サーニー(首長家) |
環境・気候変動相(新設) |
ファーリフ・ビン・ナーシル・アール・サーニー(首長家) |
労働相(旧都市村落・労働省) |
アリー・ビン・サイード・マッリー |
通信・情報技術相(旧交通・通信省) |
ムハンマド・ビン・アリー・マナーイー |
社会開発・家族相 |
マルヤム・ビント・アリー・ミスナド |
内閣担当国務相 |
ムハンマド・ビン・アブドッラー・スライティー |
(現地報道を元に作成)
評価
まず全体については、交通・通信省、文化・スポーツ省、都市村落・労働省が2つに分かれ、環境・気候変動省が新設されたことで、閣僚ポストが4つ増えたことになる(合計で20)。また個々のポストについては、主要ポストと言えるカワーリー財務相の任命が注目を集めた。同相は、前財務相が5月に汚職で逮捕されて以降、財務相代理を務めており、今般の内閣改造によって正式に財務相に任命された。商工相としての経歴に加え、カタル・ナショナル・バンク(QNB)のCEOを務めた実務家としての経験が期待されている。
またもう一つ、注目されているのは新設の環境・気候変動省だ。周知のように、今年1月のバイデン米政権発足以降、気候変動対策は世界各国の主たるマニフェストの一つとなり、エネルギー輸出国であるカタル、また他のGCC諸国もこれに取り組む旨を積極的に示してきた。再生可能エネルギーへの転換は長期的に見た流れとしては避けられない未来だろうが、今年に限って言えば、各種環境問題への取り組みは米国への協調姿勢のアピールという面があることも否定はできず、カタルに限らず、実際どの程度持続的な政策になるかどうか、現時点で見通すのは難しい。
(研究員 高尾 賢一郎)
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