中東かわら版

№74 カタル:内閣改造

 2021年10月19日、タミーム首長は首長令を通して内閣の改造を発表した。新たに変更した顔ぶれは以下表の通り。

ポスト

人物

財務相

アリー・ビン・アフマド・カワーリー

交通相(旧交通・通信省)

ジャーシム・ビン・サイフ・スライティー(前交通・通信相)

スポーツ・青年相(旧文化・スポーツ省)

サラーフ・ビン・ガーニム・アリー(前文化・スポーツ相)

都市村落相(旧都市村落・労働省)

アブドッラー・ビン・アブドルアジーズ・スバイイー(前都市村落・労働相)

宗教寄進財・イスラーム事項相

ガーニム・ビン・シャーヒーン・ガーニム

商業・工業相

ムハンマド・ビン・ハマド・アール・サーニー(首長家)

教育・高等教育相

ブサイナ・ビント・アリー・ヌアイミー

文化相(旧文化・スポーツ省)

アブドゥルラフマーン・ビン・ハマド・アール・サーニー(首長家)

環境・気候変動相(新設)

ファーリフ・ビン・ナーシル・アール・サーニー(首長家)

労働相(旧都市村落・労働省)

アリー・ビン・サイード・マッリー

通信・情報技術相(旧交通・通信省)

ムハンマド・ビン・アリー・マナーイー

社会開発・家族相

マルヤム・ビント・アリー・ミスナド

内閣担当国務相

ムハンマド・ビン・アブドッラー・スライティー

(現地報道を元に作成)

 

評価

 まず全体については、交通・通信省、文化・スポーツ省、都市村落・労働省が2つに分かれ、環境・気候変動省が新設されたことで、閣僚ポストが4つ増えたことになる(合計で20)。また個々のポストについては、主要ポストと言えるカワーリー財務相の任命が注目を集めた。同相は、前財務相が5月に汚職で逮捕されて以降、財務相代理を務めており、今般の内閣改造によって正式に財務相に任命された。商工相としての経歴に加え、カタル・ナショナル・バンク(QNB)のCEOを務めた実務家としての経験が期待されている。

またもう一つ、注目されているのは新設の環境・気候変動省だ。周知のように、今年1月のバイデン米政権発足以降、気候変動対策は世界各国の主たるマニフェストの一つとなり、エネルギー輸出国であるカタル、また他のGCC諸国もこれに取り組む旨を積極的に示してきた。再生可能エネルギーへの転換は長期的に見た流れとしては避けられない未来だろうが、今年に限って言えば、各種環境問題への取り組みは米国への協調姿勢のアピールという面があることも否定はできず、カタルに限らず、実際どの程度持続的な政策になるかどうか、現時点で見通すのは難しい。

(研究員 高尾 賢一郎)

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