中東かわら版

№115 クウェイト:首長崩御、議会選挙を経ての新内閣誕生

 2020年12月14日、ナウワーフ首長は新内閣のリスト(以下表)を承認した。16名中10名(25ポスト中18ポスト)が新任である。なお国会議長にはマルズーク・ガーニム氏が再選された。

 

表 新内閣の顔ぶれ(★印は留任、順番は現地報道に倣った)

ポ ス ト

氏 名

首相★

サバーフ・ハーリド・ハマド・サバーフ(王族)

副首相

国防相

ハマド・ジャービル・アリー・サバーフ(王族)

副首相★

内閣担当国務相★

アナス・ハーリド・ナーシル・サーリフ(前内相兼任)

社会事項相

ワクフ・イスラーム事項相

イーサー・カンダリー

石油相

電気・水相

ムハンマド・ファーリス(クウェイト石油公社取締役)

保健相★

バーシル・フムード・ハマド・サバーフ

外相★

アフマド・ナーシル・ムハンマド・サバーフ(王族)

公共事業相★

地方自治担当国務相

ラナー・アブドッラー・ファ―リス(前住宅相兼任)

国会担当国務相★

ムバーラク・ハリース

内相

サーミル・アリー・サバーフ・サーリム・サバーフ(王族)

財相

ハリーファ・ハンマーダ(前財務次官)

情報相

青年担当国務相

アブドゥルラフマーン・ムタイリー

住宅担当国務相

サービス担当国務相

アブドッラー・マアラフィー

教育相

高等教育相

アリー・ムダフ

商工相

経済事項担当国務相

ファイサル・マドラジュ

司法相

ナウワーフ・ヤーシーン

 

評価

 クウェイトでは2020年9月にサバーフ前首長が崩御してナウワーフ首長が即位した。また12月5日に行われた第16期国民議会選挙を受けて6日にサバーフ内閣が総辞職した。その後、ナウワーフ首長が再びサバーフ・ハーリド王子を首相に指名し、今般ようやく組閣が完了したことになる。

 新内閣には多くの新しい顔ぶれが見られるが、国防相・内相・外相という主要ポストには王族が任命されており、これ以外のポストでの閣僚の交代自体はクウェイトにおいて珍しいことではない。一方、政府の現下の課題として新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と原油価格下落を主要因とする財政危機への対応が挙げられるため、石油相(新たに電気・水相を兼任)と財相の交代は実務家や経験豊富な人材が登用されたことで注目を集めている。COVID-19にせよ原油価格下落にせよクウェイト1国の問題ではないため、財政危機が直ちに好転するとは考えにくい。しかし、サバーフ前首長が崩御して以降の体制の流動期を今般の内閣発足によってひとまずは終えることができたと言えよう。

 

関連情報として、下記レポートもご参照ください。

 <中東かわら版>

「クウェイト:サバーフ首長の崩御」2020年度No.83(9月30日)

(研究員 高尾 賢一郎)

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