中東かわら版

№51 チュニジア:マシーシー内相が新首相に

 ファフファーフ首相が汚職疑惑への追及を理由に辞任を表明したことを受け、2020年7月25日、サイード大統領は新首相にヒシャーム・マシーシー内相を任命した。マシーシー内相は同大統領の元法務担当顧問であり、現在いずれの政党にも所属していない。

 今回、サイード大統領は各党の推薦者以外のマシーシー内相を任命したものの、ナフダ党(議会第1党)は27日、新内閣の形成に向けて協力する意向を示した。

 今後、マシーシー新首相は組閣を行い、新内閣は8月25日までに議会で過半数の信任票(109票)を得る必要がある。

 

評価

 マシーシーはこれまでベン・アリー政権期の汚職・横領に関する調査委員会の委員や、国家汚職対策機関(INLUCC)の調査官も務めた人物である。そのため、サイード大統領は汚職対策専門家のマシーシーを登用することで、前首相の汚職疑惑で悪化した政府のイメージを払拭する狙いがあると考えられる。また、サイード大統領は自身と近い関係にある彼を通じて、新内閣への影響力を保持したい思惑もあると言える。

 最大の焦点は、マシーシー新内閣が議会から過半数の信任票を獲得できるかどうか、である。現在、議会では前首相の不信任決議をめぐってナフダ党と協力した会派と、対立した会派に分裂している。ナフダ党は入閣に前向きな姿勢である一方、自由憲法党などはナフダ党との連立政権を拒否する。このような党派間対立は挙国一致内閣の成立に大きな障害となり、2011年革命以降、チュニジア政治の停滞を引き起こす原因でもある。また、今年2月の前内閣の成立時に党派間での合意形成に多くの時間を要したことから、マシーシー内閣の成立も8月25日の期限間際になる可能性も考えられる。仮にマシーシー新内閣が同日まで成立しなかった場合、サイード大統領は議会を解散すると予想される。その場合、最優先課題である経済再建策の遂行に大きな遅れが生じるだろう。

 

【参考情報】

*関連情報として、下記レポートもご参照ください。

<中東かわら版>

・「チュニジア:ファフファーフ首相が辞任」No.45(2020年7月17日)

(研究員 高橋 雅英)

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