中東かわら版

№6 サウジアラビア:新型コロナウイルス対策事情(石油減産の動き #2)

 2020年4月12日、OPECプラス会合のメンバーは石油の協調減産についてサウジ主催のビデオ会議を行い、5月1日より過去最大規模となる日量970万バーレル(bpd)の減産で最終合意した。同会合は、9日に打ち出した方針(『中東かわら版』No.3参照)をメキシコが拒絶したことを受けて開かれた再協議である。今後は7月1日より760万bpd、2021年1月より560万bpdと減産を進める方針。

 

評価

 サウジが協調減産に向けてイニシアチブをとった背景としては、『中東かわら版』No.3で述べたとおり、(1)原油価格急落とCOVID-19拡大による経済低迷打開の牽引役としてのアピール、(2)米国とのパートナーシップ維持、(3)自国経済への影響防止の3点が考えられる。上記(1)と(2)については、今次決定をサウジのアブドゥルアジーズ・ビン・サルマーン・エネルギー相がサウジとロシアの主導であると強調し、米国のトランプ大統領がこれを歓迎する旨発言するなど、サウジ側としてはひとまず進捗が見られた格好だ。一方で(3)については今後の見通しが不透明である。今次会合の同日(12日)にサウジアラムコ社がガソリン価格の引き下げを発表するなどしたものの、とりわけCOVID-19が国内経済に及ぼす影響は今後一層強まる可能性が高い。

(研究員 高尾 賢一郎)

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