中東かわら版

№166 イラク:イランの革命防衛隊がアメリカ軍基地をミサイル攻撃

 2020年1月8日朝(日本時間)、イランの革命防衛隊はイラクのアンバール県にあるアイン・アサド基地を地対地ミサイルで攻撃したと発表した。同基地は、イラク戦争以来のアメリカ軍の重要拠点の一つである。ミサイルはイラン西部のエスラマバード・ガルブ市付近から発射され、発射された数については「数十発」、「35発」との報道がある。本稿執筆時点で、基地にどのような被害が出たかは不明である。

 

評価

 今般の攻撃で注目すべき点は、「イランの革命防衛隊自身が、イラン領からアメリカ軍の軍事施設を攻撃した」という点であろう。アメリカ軍による革命防衛隊のソレイマーニー司令官殺害を受け、イランは報復を宣言していたが、「いつ、だれが、どこで、どのように」については予想がつかない状態だった。アメリカのトランプ大統領は、イランからの攻撃があった場合は大規模に反撃すると宣言しているが、今般の攻撃でアメリカ軍に人的な被害が出るようならば、イラン領への攻撃も含めた軍事行動を想定すべき局面である。また、当初は「イランの代理勢力」による軍事行動を予想する見解があったが、革命防衛隊自身が攻撃を行ったことにより、事態はそのような陰謀・謀略的暗闘ではなく、より可視的な紛争に発展しつつある。

(主席研究員 髙岡 豊)

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