中東かわら版

№157 クウェイト:サバーフ・ハーリド・サバーフ新内閣の発足

 2019年12月17日、クウェイト国営通信(KUNA)他国内メディアを通じて、新内閣の発足が発表された。顔ぶれは以下の通り。

役職

氏名

備考

首相

サバーフ・ハーリド・ハマド・サバーフ

前副首相兼外相

副首相、国防相

アフマド・マンスール・アフマド・サバーフ

初入閣。国防次官等を歴任

副首相、内相、内閣担当国務相

アナス・ハーリド・ナーシル・サーリフ

前副首相兼任内閣担当国務相

商工相

ハーリド・ナーシル・アブドッラー・ロウダーン

前商工相兼サービス担当国務相

情報相、青年担当国務相

ムハンマド・ビン・ナーシル・ビン・アブドッラー・ジャブリー

留任

保健相

バーシル・フムード・ハマド・サバーフ

留任

司法相、ワクフ・イスラーム事項相

ファハド・ムハンマド・ムフシン・アファーシー

前司法相兼国会担当国務相

石油相、電気・水相

ハーリド・アリー・ムハンマド・ファーディル

留任

財相、経済担当国務相代理

マルヤム・アキール・サイード・ハーシム・アキール

前経済担当国務相

外相

アフマド・ナーシル・ムハンマド・サバーフ

初入閣。副首相付外務審議官等を歴任

公共事業相、住宅担当国務相

ラナー・アブドッラー・ファーリス

初入閣。公共入札局副長官等を歴任

教育相、高等教育相

サウード・ヒラール・ハルビー

初入閣。教育次官等を歴任

社会事項相

ガディール・ムハンマド・アシーリー

初入閣。首相府で社会開発担当官等を歴任

サービス担当国務相、国会担当国務相

ムバーラク・サーリム・ハリース

初入閣。クウェイト中央銀行の司法顧問等を歴任。2013年より国会議員

地方自治担当国務相

ワリード・ハリーファ・ジャーシム

初入閣。地方議会で審議官等を歴任

 

評価

 ジャービル・サバーフ前内閣は11月14日、職権乱用や公金の不正利用を巡ってナーシル・サバーフ前国防相と、ハーリド・サバーフ前内相が口論になったことに端を発して総辞職に至った。これを承認したサバーフ首長は、ジャービルを新内閣の首相に指名したが、ジャービルがこれを固辞した。このため、首長は同19日にサバーフ・ハーリド・ハマド・サバーフ副首相兼外相(当時)を新首相に指名し、約1カ月が経って今次内閣発足に至った。

 前国防相と前内相は、総辞職の決定直後に首長によって解任され、今次内閣にも名を連ねなかった。解任の理由は、互いを罵ったことと報じられたが、サバーフ首長とジャービル首相からすれば、同じ統治王族の一員である2人の対立は、文字通り「身内の恥」を国内外に晒すものであった。加えて、汚職疑惑の浮上に伴ってクウェイト市内の官庁街では市民による数十~数百名規模の抗議行動が起こっており、事態収束のためのなんらかの措置が待たれていた。サバーフ首長及びサバーフ首相としては、新内閣の発足を通じて、今回の王族内部の争いから国民の関心を遠ざけたいところだろう。

(研究員 高尾 賢一郎)

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