№154 GCC:サウジ・カタル関係に具体的な進展見られず
2019年12月10日、サウジアラビアのリヤドで第40回GCCサミットが開催された。概要は以下の通り。
1. 各国代表者
ファハド・ビン・マフムード副首相(オマーン)、アブドッラー・ビン・ナーセル首相兼内相(カタル)、サバーフ首長(クウェイト)、サルマーン国王(サウジ)、ハマド国王(バハレーン)、ムハンマド・ビン・ラーシド副大統領兼首相・ドバイ首長(UAE)
2. 共同声明での確認事項等
・治安・経済・軍事等でのGCCの結束強化
・GCC内の緊張緩和に向けたクウェイトの貢献
・イランによるGCCへの干渉の拒否
・サウジ石油施設に対する攻撃への非難
・パレスチナ、イエメン、シリア問題の解決に向けた努力の継続
評価
先だってドーハで行われたサッカー・ガルフカップに、カタルと断交中のサウジ・UAE・バハレーンが参加したこと等から、今次サミットでは、サウジ・カタル関係の具体的な進展が期待された。この一つの争点が、タミーム首長が今次サミットに参加するか否かであったが、同首長は欠席し、これまで通り、名代としてアブドッラー・ビン・ナーセル首相が出席した。しかし、カタルの仲介役を引き受けてきたクウェイトのサバーフ首長は、サウジ等とカタルの関係に改善の兆しが見られることを強調した(ただし具体的な根拠については多くは示さなかった)。サウジ・UAEは、カタルについて言及せず、クウェイトほど楽観的な姿勢は示さなかったが、名指しでカタル批判を続けてきた時期と比べれば、改善に向かう意志はある様子がうかがえよう。
これに対して、バハレーンのハーリド・ビン・アフマド外相は、「バハレーンとサウジ・UAEは、タミーム首長の欠席が今次サミットに対するカタルの誠意の無さを表していると見た」と述べた。サウジ・UAEがカタルに言及しなかった背景には、共同声明にある「クウェイトの貢献」への配慮もあっただろう。しかし、バハレーンの姿勢はこれを無視したもので、GCC内の新たな足並みの不一致を示す格好になった。
(研究員 高尾 賢一郎)
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