中東かわら版

№134 UAE:連邦国民評議会と男女比問題

 2019年11月11日、ハリーファ・ビン・ザーイド大統領は、14日に連邦国民評議会を開催すると発表した。同議会は選挙で選ばれた20名と各首長が任命する20名からなる、合計40名を定数とする。民選20名は今年10月5日に行われた選挙で決定済で、今回新たに官選20名が発表された。今期議会では、大統領令により、定数の男女比が均等となるよう定められ、以下表の通り、民選・官選の合計の男女比はほぼ均等になっている。

 

表:各首長国における官選・民選議員それぞれの男女比率

首長国

定数

官選

民選

男性

女性

男性

女性

アブダビ

8

2

2

2

2

ドバイ

8

2

2

2

2

シャルジャ

6

0

3

3

0

ラアス・ハイマ

6

1

2

3

0

フジャイラ

4

1

1

1

1

アジュマーン

4

1

1

1

1

ウンム・カイワイン

4

1

1

1

1

 

評価

  定数の男女比均等を受けて、10月の選挙では女性の有権者登録率と立候補率が過去最高を記録した。他方、全体の投票率は2015年の前回選挙の35.29%から34.81%に下がり、議会に対する国民の関心が高まったとは言えない。

  同選挙では、シャルジャとラアス・ハイマを除く5つの首長国で女性用の当選枠が予め確保されていた(男性と併せた全体の投票数で定数内の順位につけた女性立候補者は、どの首長国にもいなかった)。投票率の男女比は明らかでないが、こうした状況が男性の目に「出来レース」と映った可能性もある。2006年、政府の民主的側面をアピールするために始まった同選挙だが、今度は男女平等のアピールの場として活用されることで、国政選挙とはますます言い難くなり、皮肉にも選挙を通じて国民の政治離れが促進されている面も否定できない。

 

【参考】

「UAE:第4回連邦国民評議会議員選挙の立候補者の確定」『中東かわら版』No.90

(研究員 高尾 賢一郎)

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