中東かわら版

№74 GCC:米国主導の有志連合への反応

 2019年8月6日、倪堅(Ni Jian)駐UAE中国大使が、「ペルシャ湾の状況が危険な場合、中国海軍が中国商船を護衛する」「中国は米国の提案を検討する」と、『ロイター』他で述べた。これは、7月に米国が提案した、アラビア半島周辺の航行の安全確保のための有志連合への参加に対する、中国の前向きな姿勢と言える。韓国が7月29日に参加に前向きな姿勢を示し、5日には当初参加に否定的だった英国が一転して参加を表明するなど、域外諸国の参加が目を引く一方、域内安全保障の観点から利益を得るところが多いGCC諸国に関しては、本日時点で参加を表明しているのがバハレーンのみである。

 

評価

 バハレーンからすれば、米軍の第5艦隊司令部を擁する戦略的立場上、中心国として有志連合に参加する必然性は高かったと言える。一方、イラン・イエメンの牽制という点で本提案によって利するところが大きいサウジアラビアは、有志連合への参加は表明していないが、7月19日に米軍の国内駐留を決定し、すでに共同訓練を実施した。また、6日にはファーリフ・エネルギー・産業・鉱物資源相が、リック・ペリー・米エネルギー長官とワシントンD・Cで会談し、有事の際の石油市場の安定化について協議した。このように、サウジアラビアは、有志連合への参加ではなく、米国との二国間の協働を優先している。

 サウジ同様、米国の対イラン政策を支持するUAEに関しては、現時点で、有志連合への参加表明もなければ、サウジほどの米国との二国間協働も見られない。他方、7月22日にムハンマド・アブダビ皇太子が中国を訪問し、習近平国家主席と会談した際、中国がペルシャ湾の情勢に対して積極的な役割を果たすよう働きかけたとされ、両国の間で軍事・防衛に係る協力覚書も交わされた。同皇太子の訪中と今般の中国による有志連合参加への前向きな意見表明との因果関係は不明ながら、参加とは別の方法で各国が米国と協働を図り、有志連合を後方支援している動きは注目に値する。

 

【参考情報】

*関連情報として、下記レポートもご参照ください。

<中東トピックス>(会員限定)

「バハレーン:海上安全保障会議の開催を発表」(2019年7月)

 

<中東かわら版>

「№72 バハレーン:米国の有志連合結成案への協力と各国の反応」

「№68 サウジアラビア:16年ぶりの米軍駐留」

「№64 バハレーン:米国提案の海上安全保障会議を主催か」

(研究員 高尾 賢一郎)

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