中東かわら版

№30 UAE:フジャイラ沖で商船・タンカーに「破壊行為」

 2019年5月12日、UAEの外務省は同国のフジャイラ沖(イランから約115km)の同国の経済水域で、様々な国籍の民間の商船4隻が「破壊行為」を受けたと発表した。発表によると、「破壊行為」による人的損害はなく、有害物質や燃料の流出もない。

 また、13日には、サウジのエネルギー相もサウジからアメリカに向かっていたタンカー2隻が破壊行為を受け、人的損害や燃料流出はないものの、船体に大きな被害が出たと発表した。

地図:フジャイラ周辺地図(筆者作成)

 また、上記発表とは別に、「マヤーディーン」TV(レバノンのシーア派資本の放送局)が、フジャイラ港でタンカー7隻が爆発したと報じたが、フジャイラ首長国の広報局は、同港で爆発があったとの情報を否定した。

 

評価

 アメリカとイランとの緊張が高まっている中、UAEの周辺、特にホルムズ海峡の航行の安全が懸念されている。「破壊行為」の主体やその詳細は不明だが、今般の事件はまさにそのような状況下で発生した。13日、イランの外務省は事件について「心配かつ残念」と論評するとともに、調査の実施と「航行の安全を妨害するための外部の当事者による冒険」に警戒するよう呼びかける声明を発表した。アメリカが周辺海域への空母を派遣するなど、緊張が高まり、不測の事態に警戒が必要な状況ではあるが、だからこそ本件のような事案についてはプロパガンダや流言飛語に惑わされない事実関係の見極めが必要であろう。 

(主席研究員 髙岡 豊)

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