№106 サウジアラビア:副国防相、駐米大使の任命
- 2019サウジアラビア湾岸・アラビア半島地域
- 公開日:2019/02/25
2019年2月23日、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子(MbS)は、外遊中のサルマーン国王に代わり、副国防相と駐米大使の人事に関する勅令を発出した。
副国防大臣 |
ハーリド・ビン・サルマーン・アブドルアジーズ・アール=サウード |
前駐米大使(2017-2019);王族(MbSの同腹弟)、軍人 |
駐米大使 |
リーマ・ビント・バンダル・ビン・スルターン・ビン・アブドルアジーズ・アール=サウード |
前総合スポーツ庁女性部門副部長(2016-2019);実業家、慈善活動家;王族、父は元駐米大使 |
評価
今次人事は、駐米大使のハーリド・ビン・サルマーンを解任し、副国防相に任命すると共に、リーマ・ビント・バンダル・ビン・スルターンを駐米大使に任命した形となる。サウジアラビアにおける初の女性大使となる。
ハーリド・ビン・サルマーンの解任は、カショギ氏事件で悪化した対米関係を刷新するためであろう。新たに駐米大使に任命されたリーマ・ビント・バンダル王女は、22年間駐米大使を務めたバンダル・ビン・スルターン(在任1983~2005年)の娘で、MbS主導による女性の社会進出政策として設置された総合スポーツ庁女性部門の副部長であった。米国と太いパイプをもつ人物であり、かつ女性を駐米大使に任命することで、対米関係に新しい風を吹き込みたい意図があると考えられる。
また、ハーリド・ビン・サルマーンの副国防相就任は、MbSが国防相でもあることを考えると、MbSが自身の側近を信頼できる身内の人物で固めたことを意味する。MbSに権力が集中する体制がさらに強化されたともいえよう。
(研究員 金谷 美紗)
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