中東かわら版

№101 ヨルダン:内閣改造

 1月22日、ヨルダン王宮府は勅令を発出し、以下のとおり内閣改造を実施した。

氏名

役職

経歴

ワリード・サーリム・マアーニー

高等教育・科学研究相

高等教育・科学研究相(2009年-2011年)

ワリード・ムヒーエッディーン・ミスリー

地方自治相(運輸相解任)

公共事業・住宅相(2013年)、地方自治相(2013年2016年)、地方自治相兼運輸相(2018年)

マジド・ムハンマド・シュワイカ

観光・遺跡相(行政・組織開発国務相解任)

 

通信・情報技術相(2015年2016年)、行政・組織開発国務相(2018年-2019年1月)

アンマール・フアード・ハサーウネ

運輸相(新任)

公共事業・住宅省事務次官;2016年-2018年運輸相事務次官;2018年-2019年1月陸上輸送規制委員会理事

 

 

評価

 今般の内閣改造の背景には、昨年10月28日に死海南部の川で鉄砲水が発生し、当時観光ツアーに来ていたアンマンの中学校生徒と教師の計21名が死亡、数十名が負傷した事故があると思われる。この事故をめぐる政府への批判は大きく、11月にアズミー・ムハーファザ高等教育・学術研究相とリーナ―・イナーブ観光遺跡相が辞任している。この辞任以降、両ポストは空白のままだった。これに代わるマアーニー教育相とシュワイカ観光相は、いずれもこれまで大臣を務めてきた経験があり、既存の大臣や議員から定期的に閣僚を任命、交代するヨルダン政治の特徴が表れている。

 他方、新任の運輸相の人選では実務経験が重視されていると思われる。昨年、シリア・ヨルダン間のナスィーブ検問所が再開し、徐々にヒトやモノの往来が活発になっていると言われている。こうした往来は、ヨルダン経済にとって好ましい動きである一方で、物品の輸送管理などの作業が増えることを意味する。今般の運輸相の人事は、こうした管理に重点を置く政府の姿勢が反映されていると思われる。

 

(研究員 西舘 康平)

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