中東かわら版

№102 アルジェリア:大統領選挙の日程発表

 1月18日、ブーテフリカ大統領は、4月18日に大統領選挙を実施する旨の大統領令に署名した。ブーテフリカ大統領は1999年に初当選し、その後2004年、2009年、2014年と再選され、2019年4月に任期が終了する。大統領(81歳)の健康状態が悪いことから、ブーテフリカ自身が立候補するのか、他の候補者が擁立されるのか、または大統領選挙そのものを延期するのか、といった疑問が取り沙汰されてきたが、政府は予定どおり選挙を実施することに決定したようである。

 与党の民族解放戦線(FLN)、大統領支持派のRND(国民民主連合)、TAJ(アルジェリア希望連合)、MPA(アルジェリア人民運動)、官製労組などはブーテフリカの立候補を支持しているが、大統領自身は意思を明確にしていない。23日までに、政党の党首12名、無所属67名が立候補申請を行った(内務省発表)が、軍やFLNといった体制側の候補者は現れていない。

 立候補者審査や集票作業は憲法評議会が行う。一方、選挙過程の監視は、2016年の憲法改正で新規に設置された「最高独立選挙監視機構」(HIISE)が担当する。HIISEは、委員長1名(アブドルワッハーブ・デルバル)、判事205名と市民社会代表者205名の計410名で構成されている。

 以下は、大統領選挙制度の概要と主な日程である。

  • 選挙制度(2016年改正憲法、2016年選挙法)

・任期5年、再選1回まで。

・過半数票で当選する。決選投票あり。

・立候補者は次の署名を憲法評議会に提出しなければならない。

地方議会(APC)または県議会(APW)または国会議員から600名以上。ただし25県以上。

有権者6万人以上。ただし25県以上、かつ1県あたり1500人以上。

 

  • 主な選挙日程(2016年選挙法)

・投票日の45日前までに立候補者名が発表される(3月上旬)

・立候補者名の発表から10日後までに憲法評議会が立候補者審査を終える(3月中旬)

 

評価

 これまでに立候補を申請した人物には、2014年の大統領選にも立候補した自由前衛党党首アリー・ベンフリスや未来潮流戦線党首のアブドルアジーズ・ベルイードなどがいるが、体制側の立候補者がいまだ現れていないことが注目される。もはや職務遂行不能の状態にあるブーテフリカなのか、大統領の名代として数々の首脳会談や国際会議に出席しているウーヤフヤー首相(RND党首)なのか、副国防相であり国軍参謀総長のアフマド・ガイド・サーリフなのか。もし体制がブーテフリカを擁立したならば、ブーテフリカ5期目は後継者探しが本格化するであろうし、ブーテフリカ以外の人物が擁立されたならば、その人物が体制の利益を守るとみなされ、ポスト・ブーテフリカ期の体制側の意図が垣間見えるであろう。3月までにどのような過程を経て候補者が擁立されるかによって、選挙の帰趨やその後のアルジェリア政情を展望できるだろう。

(研究員 金谷 美紗)

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