中東かわら版

№27 サウジアラビア:文化省の設置、内閣改造

 6月2日、サルマーン国王は勅令を発出し、文化・情報省の文化省・情報省への分離や、経済関係の閣僚の任命などを命じた。以下は上記勅令における主な人事内容である。

文化相

バドル・ビン・アブドゥッラー・ビン・ムハンマド・ビン・ファルハーン・アール=サウード

1985年生、王族。前MBCグループ会長

国務相 兼

政治・安全保障評議会委員

サーリフ・ビン・アブドゥルアジーズ・ビン・ムハンマド・アール=シャイフ

シャイフ家。前イスラーム事項・宣教・善導相

イスラーム事項・宣教・善導相

アブドゥルラティーフ・ビン・アブドゥルアジーズ・ビン・アブドゥルラフマーン・アール=シャイフ

シャイフ家。元勧善懲悪委員会長官(2012-15)

労働・社会開発相

アフマド・ビン・スライマーン・ビン・アブドゥルアジーズ・ラージヒー

前サウジ商工会議所会長

内務副大臣(閣僚級)

ナーシル・ビン・アブドゥルアジーズ・ダーウド

前内務省事務次官

諮問評議会 副議長(閣僚級)

アブドゥッラー・ビン・サーリム・ビン・ジャービル・ムウターニー

諮問評議会議員

キング・アブドゥッラー原子力・再生可能エネルギー都市総裁

ハーリド・ビン・サーリフ・ビン・アブドゥッラー・スルターン

前キング・ファハド石油・鉱物大学学長

皇太子秘書官

バンダル・ビン・ウバイド・ビン・ハンムード・ラシード

前内閣事務局長補佐

 

評価

 今次決定からは、サルマーン国王、ムハンマド・ビン・サルマーン(MbS)皇太子による民間部門を中心とした経済開発政策や社会・文化の開放政策を促進する意図が見られる。前者に関しては、労働・社会開発相に実業家のアフマド・ビン・スライマーン・ラージヒーが任命されたことに顕著に表れている。サウジアラビアでは若者の雇用促進が重要な政策課題であるが、この問題についても今後手腕が問われるであろう。また、文化・情報省から文化省を分離・独立させ、中東地域の大手メディアグループ、MBCグループの会長であるバドル・ビン・アブドゥッラー・ビン・ファルハーンが同国初の文化相に任命されたことも、現体制が社会・文化の開放に熱心であることの表れである。開放政策がサルマーン・MbS体制に対する国民の支持形成にどのように結びつくかが今後注目される。

(研究員 金谷 美紗)

◎本「かわら版」の許可なき複製、転送はご遠慮ください。引用の際は出典を明示して下さい。
◎各種情報、お問い合わせは中東調査会 HP をご覧下さい。URL:https://www.meij.or.jp/

| |


PAGE
TOP