中東かわら版

№19 UAE:投資誘致のための制度改革

 2018年5月20日付『ハヤート』紙(サウジ資本の汎アラブ紙)は、UAEの内閣が外国人の投資家優遇のために要旨以下の通り制度の改正を行うことを決定したと報じた。

 

1.外国人投資家によるUAE国内での企業の所有権の比率の上限を、従来の49%から100%に引き上げる。

2.外国人の投資家、医師・技師などの専門職、それらの者の家族の滞在査証の期限を、3年から10年に延長する。成績優秀な学生についても同様。

 

 UAEのムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム副大統領兼首相(ドバイ首長)は、ツイッターのアカウント上で、これらの措置は2018年中に実施されるであろうと表明した。

 

評価

 従来の制度では、外国からの投資家がUAE国内で企業を設立する場合、その企業の51%を所有するUAE国民の提携者を得なくてはならなかった。なお、その際UAE国民の側は当該の企業設立のために全く出資しなくてもよい。『ハヤート』紙によれば、この制度の下で実際に問題が生じた例は少ないが、それでも外国の投資家がUAEへの投資をためらう要因となっていた。

 今般の制度の改正は、UAEへの進出を希望する企業や、同国での就労を希望する専門家らにとっては歓迎すべきものだろう。その一方で、投資家や専門家にとって魅力的な環境を支える政治・安全保障環境を維持したり、進出する企業・専門家の中で働いたりする人材をUAE国民の中からいかにして育成するかが、UAEにとって長期的な課題となろう。また、周辺の産油国も同様の投資・人材誘致を図って競争が激化することも予想されるが、UAEを含む各国は、企業や専門家だけでなく、それらの活動を支え現場での労働を担う単純労働者や家政婦のような出稼ぎ労働者の待遇改善も含む改革・制度改正が求められるようになるだろう。

(髙岡主席研究員)

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