中東かわら版

№3 パレスチナ・イスラエル:ガザ境界での衝突(2)

 4月6日、ガザの境界地帯でハマース主導の金曜日の大行進(2回目)が実施された。パレスチナ保健省の発表では、9人が死亡、1000人以上が負傷した。イスラエル側の報道では、大行進の参加者は約2万人だった。パレスチナ保健省(7日)の発表では、3月30日の1回目の大行進以降の衝突での死者は29人、負傷者は2850人となった。6日、国連安保理は、再度、イスラエル軍を非難し、グテーレス事務総長が要請した独立調査委員会の設置を求める声明を採択しようとしたが、今回も米国が反対した。6日の衝突では、記者証をつけて現場で取材していたパレスチナ人カメラマンが射殺された。7日、国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団(RSF)」(本部パリ)は、イスラエル軍が取材活動中の記者に対して「意図的な銃撃」を行ったと非難した。同非難に対して、イスラエル軍は、記者射殺について調査する委員会を設置すると発表した。EUは、非武装の市民殺害について、イスラエル軍の過度の暴力行使を批判し、イスラエル軍の銃撃に関して調査される必要があると声明した。8日には、国際刑事裁判所の検事が、ガザ境界での衝突で非武装の市民が殺害されていることについて、ハマースとイスラエルには戦争犯罪の可能性があると述べたと報道された。

 

評価

 

 2回の大行進実施において、イスラエル軍の銃撃により、非武装と思われるパレスチナ人29人が死亡し、2850人が負傷した。大行進への参加者は、2回とも数万人規模と推定されており、5月15日の「ナクバの日」までかなりの規模の抗議行動が継続する勢いである。他方、イスラエル軍は、デモ参加者がフェンスを越えることを実力で阻止する構えを維持している。こうした事態に対して、安保理は米国のイスラエル擁護姿勢により機能していない。また米国あるいは他の国、機関が衝突回避のために単独あるいは共同で政治介入する動きもない。現状では、毎週金曜日の大規模衝突が、5月中旬まで継続する公算が高い。

(中島主席研究員)

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